「ソニー損保のやさしい運転キャッシュバック型」無料トライアル.

私は車の運転の滑らかさにかけてはちょっと自信があります.急加速もしないし急減速もしないし、ガソリンもタイヤももったいないし、そういう運転です.青信号スタートでアホみたいな急加速で飛び出していく軽四輪のおばちゃんとか、どうしてああいう運転になるか不思議でした.と同時に、ああいう運転の人と、保険料が同じ土俵で評価されるのが、ずっと不満でした.で、最近コマーシャルで「やさしい運転の人は保険料が安くなる」というのを見て、調べてみたところ、「30日間無料トライアル」ができるということだったので、早速トライしてみました.

仕組みとしては、車の動きを測定する機械を車に取り付けて、それで運転状態を継続的に測定して点数化し、その点数によって保険料を割引するというものです.電源の配線等は不要です.ちょっとした測定器を車に固定するだけです.表示は出ますが、必ずしもそれを見る必要もないので、たとえばグローブボックスの中とか見えない場所に固定してもOKだと思います.ベースとなる保険料は、一般的な保険料よりも1割ほど高めになるので注意が必要です.計測の結果、割引なしと判定されれば、今までより1割ほど高い保険料となるわけです.1割以上の割引を受けられる点数でなければ元が取れません.

無料トライアルに申し込むと、測定器が送られてきます.こんなのです.
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説明書に記載があったことと、しばらく走ってみて感じたことを合わせると、だいぶん仕組みが分かってきました.まず、この機械が計っているのは3方向の加速度です.機械の取り付け方向は特に規定されていませんが、取り付け後、最初に車が動き出してから数分間は準備状態になりますので、その間の測定値から車の進行方向を割り出しているのだと思います.その後は、測定値から車の振動のようなノイズを除去して、車の速度変化を記録しているようです.説明書によると、車が止まってから3秒後に、その時の加減速の様子を採点するようです.私はマニュアルミッション車に乗っているのですが、クラッチを繋いだ瞬間のガクッというようなショックはきれいに除去されているようで、全く反応しません.また、道路のでこぼこのようなショックにも反応しません.けっこう良くできています.

さて、肝心の採点がどうなったか、私がほぼ1ヶ月使ってみて、運転状態を判定された回数は300回ちょっと、その中で「優しく無い運転」と判定されたのは1回だけです.その1回とは、高速道路のサービスエリアから本線に入る時の加速車線でフル加速する時でした.まあねぇ、あそこではフル加速するけどさ、タラタラ加速してるとかえって危ないし、それで優しくないって言われりゃ、そりゃ反論できないけどね、ということです.しかも、その1回の判定だけで、点数は72点まで下がりました.その点数では1割分のキャッシュバックももらえません.

当たり前のことですが、この機械は安全運転かどうかを計っているわけではないんですね.人間が採点したって、安全運転かどうかなんて、なかなか点数化するのは難しいですし、そんなことは保険会社も良くわかっているわけで、だからこの保険は「安全運転キャッシュバック」ではなくて、「やさしい運転キャッシュバック」なんです.運転が安全かどうかを採点してキャッシュバックできればそれが一番なんですけど、技術的にそれは難しく、安全運転かどうかの評価を組み込んだ保険という商品は成立しないので、保険会社としては「やさしい運転」かどうかで判定せざるを得ないのでしょうね.満点を取りたければ、高速道路の加速車線でもゆっくり加速しないといけないんだけれど、それが安全かどうかということは、保険の評価とは関係ないわけです.「安全運転」=「やさしい運転」と思ってしまうのは、私の勝手な思い込みというわけです.

まあ、今回の無料トライアルで、この保険は私には向いていないし、もし契約しても、いらんことに気を取られて普通の運転ができなくなる可能性があるということがよくわかりました.これからこの保険を検討する方の参考になれば幸いです.