立山紅葉見物、のつもりが....

もうすっかり師走です.こっちが普通の気分でいても、テレビのニュースで「師走です!」「クリスマスです!」「今年ももう残すところ...」って連呼しているおかげで、何となくせわしない気分になってしまいます.ということで(どういうことか?)10月に紅葉を見に立山に行ってきたときのことを年内中に書いておきたいと思います.10月というのは素人登山にはちょっと危険な時期です.10年くらい前でしたか、紅葉登山で立山に登った中高年のパーティーが遭難して、10人くらいが凍死したという事故があったようです.天気がよければ快適な登山ができますけれど、天気が崩れれば10月でも稜線で猛吹雪になりますから、とてもじゃないですけれど素人の手に負える状況ではないですし、手に負えないということは、そのまま死を意味するわけですから、やっぱり素人が軽々しい覚悟で行っていい場所ではないと思います.先の遭難事故については、装備が悪かったとか、ガイドの判断が悪かったとかいろいろ言われていますけれど、天気が悪くなるのが明白なのに、無理して登ったというのが一番の原因でしょうね.ですので、私は絶対に天気の悪くなりそうな日には登りません.今回も、絶対に悪い天気にはならないと読んだ日に登りました(にもかかわらず、やっぱり半分くらいは雲の中を歩いていたんですけれど).


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立山駅の駐車場に到着したのは5時46分.気温は12度ということですが、はっきりいって寒いです.山のうえ用に持ってきたウインドブレーカをすでに着込んで、切符売り場に行きます.


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切符売り場にはすでにたくさんの人が並んでいます.前回、9月に登ったときよりも人が多いです.これといって目当てのない9月より、紅葉の時期のほうが人が増えるのですね.


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ケーブルカーの出発は始発の7時です.改札口の様子では、やっぱりただの観光というよりは、登山の方がほとんどですね.


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今回のザック、左右のベルトの部分に1本ずつ青いチューブが出ていますが、給水用です.1リットルと2リットルのタンクを1つずつ背負ってあがります.寒いんでこれくらいで十分なはずです.


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はい、室堂に到着しました.みくりが池からの眺めです.左側の稜線から登って、右側に縦走して、一回下っているところが一ノ越です.前回、立山三山縦走をするだけの体力はないということがわかったので、今回は一ノ越から室堂に帰ってくるつもりです.


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道ばたの草が凍っています.明け方の冷え込みはすでに氷点下のようですね.


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こっちの草にも霜が降りています.


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地獄谷の湯気も、いつもの3割増しくらいのような気がします.


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写真の中央付近が、最初に目指す剣御前小屋方面です.


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この稜線を右に向かって縦走するのですが、真ん中あたりでちょっと下った後で急に登っているところ、とてもきつそうです.今まであんまり深く考えずに歩いていたんですけれど、あんなに急な登りもあったんですねぇ.


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これから登る稜線.沢の近くは、紅葉がきれいです.


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その沢の近くの紅葉.見事に色づいていました.


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雄山、一ノ越方面です.


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振り返って、雷鳥沢キャンプ場方面です.テントを張っている人が何人かいるのがわかります.


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新室堂乗越です.稜線に出ました.ここまで約1時間.予定より15分ほど速いペースです.


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今回は、なぜかこの鳥をしょっちゅう見ました.こんなところで何を食料にして生きてるんでしょうね.


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なんか食べられそうな実を発見しましたが、もちろん取りませんよ.でもなんか美味しそうです.


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はい、これから行く予定の雄山方面です.


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振り返って、地獄谷方面.このあたりの木の葉っぱは、まだ白くなって霜が溶けきっていません.


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稜線から見た富山湾方面.白くちょろっと見えているのが早月川ですね.


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今までの登山とはっきり違ったのが、とにかく腹が減ってしまうということ.今までは登るのに精一杯で、空腹感をあまり感じなかっただけなのかもしれません.今回は登り始めた時点でもう「なんか腹減ってきたなぁ」って、朝ご飯を食べたのが4時くらいなので、10時も近くなれば腹が減っても不思議はありません.モンベルショップで試しに購入してみた栄養補給剤を飲んでみます.なんか、アンズのジャムを煮詰めてノリ状にしたような、そんな感じです.水なしでは飲み込めません.


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この時点で気温は8度ほど.でも運動をしているので寒くはないです.ちなみに着ているものは、アンダーシャツとメッシュのシャツ、アンダータイツと薄手のパンツだけです.立ち止まると、あっという間に体が冷えてきますので、休憩は、短めにこまめに取ることにします.


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さっき見た、美味しそうな実がここにもなっています.


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左側の石が転がっているところがこれから登る道で、稜線をずっと行って、真ん中すぎでガポッと下っているところが一ノ越です.


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剣御前小屋に到着しました.時間は10時15分.予定より30分も早い到着です.なんか今回はペースが早めですけれど、大丈夫なんだろうか.無理している気はしないんだけれど.


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小屋の前から見た剣岳方面.ほんまにようギザギザしてますなぁ.


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それに比べると、これから登る稜線のなだらかなこと.登り切ったところが別山です.


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別山山頂です.時間は10時55分.やっぱり予定より30分ほど速いペースです.


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別山山頂から剣岳方面.右側に伸びているのが別山の北峰です.


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北峰から見た剣岳方面.ここには先客が一人いたのですが、それがまた山の上ではあり得ないくらいの可愛らしい女性でした.年の頃は25くらい.私はここまで3時間歩いてきたんですけれど、その私と比べてもあきらかに軽装.しかも、なんで山でミニスカートなんだ?(もちろんアンダータイツははいているんですけれどね).なんか、山雑誌に出てくるモデルさんみたいな感じです.いや実際そうなんじゃないかな.彼女もこの場所から一生懸命に剣岳を狙っていました.あまりじろじろ見るのも失礼なので、ちょっと会釈をしただけでそそくさと退散してきたんですが、いや?、いいもの見られました.しかも、この後、彼女とは下山まで、何度か出くわすことになります(さすがに、その彼女の写真を撮る度胸はありませんでした).


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北峰から別山山頂に戻る途中、これから行く予定の大汝山方面です.右側から風が吹き付けて、稜線に雲がかぶっています.まあ、いい景色は期待できそうにないですね.


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別山山頂に戻って昼食にします.11時13分.持ってきたのはおにぎり4つと焼き豚丼弁当と、パックのジュースを2つでした.腹の具合を考えて、おにぎり1つとジュース1つを残して、あとを食べることにします.「食べるラー油」のおにぎりは失敗でしたね.山に来ると気圧のせいかやたらとゲップが出るのですが、このあと山を下りるまでずーっとラー油くさいゲップが出ることになります.昼食を食べている間に、北峰にいたかわいい女性が私の前を通って雄山方面に行きました.私と向かう方向は同じようです.ってことは、今日はどこから登ってきたんだろうか.山小屋発か?それにしちゃ軽装だしなぁ.いや、なんだか不思議な人だ.


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昼食を終えて、別山山頂を出発します.時間は11時30分(時間記録のために写真撮影).


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この時点で気温は5度ほど.フリースとウインドブレーカを着ていますが、ちょっと脱ぐ気にならないのでそのまま出発します.まあ結局5分ほどで暑くなって、もとの格好に戻るんですけれどね.


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別山からの下りかけ.やっぱり景色は見そうにありません.


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長野県方面です.ゴボッとえぐられたようなこの谷は、その昔、氷河がえぐった地形だそうで、「カール」と呼ばれるのだそうです.


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前回きたときに、ヘリコプターでしきりに物資を上げていた内蔵助小屋.来シーズンは営業できるんでしょうか.


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真砂岳山頂到着.時間は12時25分.で、ここで別山で出会った美人の女性が、雄山方面からきた若い兄ちゃんにナンパされかかっていました.「その格好じゃ、大汝山の登りは無理だよ?」とか言われてましたけれど、結局彼女は登り切ったんです(後でもう一回出会いましたから).すごいなぁ.ここで兄ちゃんにつかまっている間に、私はその女性を追い越して出発しました.


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こんな稜線を行きます.はぁ、なんかあんまり楽しそうじゃないよなぁ.でも行くしかないし.行かないと帰れないから.


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「大走り」というエスケープルート.これを下っていくおじさんは、私が行こうとしているルートを逆回りしてきたのですが、この分岐点でちょっと迷ってから、「やっぱり中断して温泉でビールでも飲んでから最終バスで帰るかな、あっはっは?」と言って、嬉しそうに大走りに向かいました.そういう楽しみもいいですよね.山を下りたあとで温泉とビールって、私も余裕が持てるようになったらぜひやってみたいです.


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「内蔵助カール上部」という看板.


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その「内蔵助カール」がこれです.今でも万年雪が残っています.奥の方にはきれいな紅葉の山が見えます.あそこはもう長野県かな?


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はい、ここで2つめの栄養補給ジェル.あいかわらず、ジャムをさらに煮詰めたような味.


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富士の折立通過.時間は13時11分.まだ、予定よりも10分速いペースです.


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最高峰の大汝山です.


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ちょっと余裕もあったので、山頂まで行ってきました.やっぱり岩しかない、なんの味けもない山頂の風景.


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大汝山の岩陰に雪が残っていました.やっぱりもう積雪があったようですね.


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はい、雄山神社の分岐点に到着しました.途中の写真がないのは、ガスで何も見えなかったから.


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シーズンには人でごった返していた雄山神社の社務所.いまは、誰もいない廃墟のようです.


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雄山山頂の、お祓いをしてくれるところ.もちろん誰もいません.


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社務所.これ以上ないっていうくらい完璧に閉鎖されています.


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雄山山頂の三角点.ここから一ノ越に下ります.時間は13時56分.実は思ったほど疲れていません.前回に比べれば明らかに楽です.このまま一ノ越まで一気に下れば、もしかしたら浄土山を狙うことができるかもしれません.


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この時点で、水は1リットルボトルを飲み干して、2リットルの方を500cc飲んだだけ.まだ1.5リットル残ってますから十分です.


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途中、山の中によくある看板を発見.「三の越」と書いてある.どうも、一ノ越から雄山山頂まで、1から順に番号がふってあるみたいです.


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はい、一気に下って、一ノ越小屋です.時間は14時30分.思っていたより十分早いです.なんか浄土山に行けそうな気がしてきました.


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さっき下りてきた、雄山山頂方面.ガスでなんにも見えません.


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ここでの気温は3度ほどでしょうか.強烈に風が吹き抜けるので、とっても寒いです.じっとしてたらヤバイですね.


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室堂側から吹いてきた風が抜けていくのが、こっちの黒部湖側なんですけれど、やっぱりちょろっと下ったところから先は、ガスで見えません.


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ここまで使わずに我慢していたポールを出すことにします.


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これが室堂方面.比較的見通しもよく、下るのも、まあ楽ちんそうに見えます.


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で、こっちが浄土山方面の道.チョロッと行ったらもう先が見えなくなっています.でも行くことにしました.今14時41分ですけれど、最終バスは17時ですから、2時間以上の余裕があります.体は結構きついものがありますが、立山三山を目指すチャンスはホントに今年最後ですし、コースタイムが1時間30分に対して2時間以上の時間が残っているから大丈夫でしょう.ということで行きます.


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なんかよくわからんけれど、どこかに着いた模様です.地図で確認したところ、浄土山の手前にある、富山大学の研究施設のようです.時間にして20分.コースタイムが30分なので、いいペースです.た?だ、体はかなり辛いです.正直なところ、来なきゃよかったと思い始めています.


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最後の最後でこんな上り坂.もう辛くてしんどくて、ほんと歩幅が10センチくらいになっているんです.ボトルネックは肺です.脈拍はたいしたことないけど、呼吸が苦しい.止まると10秒ほどで楽になるんですけれど、歩き出すとすぐにまた息が苦しくなって....なんか頭の中で「山は登り続けなければ小さくはならない」っていう言葉がグルグル回っています.誰の言葉だったっけ.


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ものすごいガケだっていうことがわかりますかね.写真の右上に、雲をすかして向かいの山の頂が見えているんですけれど、だからカメラがかなり下を向いているってことなんですけれどね.


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軍人慰霊碑があります.このあたりは結構なだらかな地形で、どこが山頂っていうのがよくわからなかったんですけれど(ガスで見通しがきかないっていうこともありますけれどね)、地図によればこのあたりが浄土山の山頂のようです.


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ええっと、なんか上を向いて山の頂上を撮っているような写真ですが、実はかなり下を向いて撮っております.雲が見えますが、あれははるか足の下の方にある雲なんですよ.下ってます.強烈に下っているんですけれど、写真ではなんにも伝わらないですね.残念です.


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これでわかりますよね.これが下ってきた道です.ていうか、道じゃないです.山の上から一抱えもあるような岩をゴロゴロ転がし続けて、石がたまったところを下りなさいって言われて、帰るわけにもいかないし、しょうがないからグダグダ文句を言いながら下りてきたと、そういった場所です.足場が不安定なところでは三点支持でって言いますけれど、私の場合、尻までついて四点支持で下りてきましたよ、まったく.


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ガラガラでゴロゴロの岩が転がっているカゲから、室堂ターミナルの建物が見えました.これを見た瞬間に口をついたセリフが「ざまぁみろ、くそったれが!」ですからねぇ.自分で言っておいてなんですが、普段は絶対に言いませんから、そんなこと.肉体的にも精神的にも、かなり追い詰められた状態であったことは確かです.


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3枚上の写真で、真ん中あたりに横方向に黒い筋みたいなのが入っていますが、それが、この写真でも横方向に黒っぽく写っているところです.道なんですね.写真の右下から、丸太を転がして「ここが道ですよ」って案内してくれている、それが合流するのが、黒く写っている道です.そこを右に行けば室堂ターミナルに出ます.左に行くと展望台があって「立山カルデラ」の絶景が見られるということなんですが、今日は雲が出ていて見通しが悪いですし、何より体力的に辛いものがあるので、展望台はパスしてターミナルに向かいます.


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ターミナルに向かう道との合流地点に地図がありました.自分が下ってきた道、点線になっている上に「落石注意」だって.落石注意っていうか、気分的には落石跡地の上を這いずりながら下りてきたって感じなんですけれどね.私の持っているガイドブックでは、このルートが「初心者向け」って書いてあったんですけれど、絶対に間違っていると思います.


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もう見えますね、ターミナルビルが.丸太で囲まれた道を下りていくだけです.時間はちょうど16時くらい.バスの出発まで1時間ありますから、ほぼ間違いなく大丈夫です.最終バスには乗ることができるはずです.そう思うと気が緩んで、思わぬ怪我をしてしまうことがあったりなんかしたら大変ですから、両手で太ももを叩いて気合いを入れ直して、でもゆっくりと歩いて行きます.


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自分が今日歩いてきた稜線が見えます.自分が歩いていたときはほぼ雲の中だったのに、なんで今になって晴れてくるんだろうか.でもまあ、いいですけどね.損した気分には全くなりませんわ.自分が歩いてきた山の足下が、こんなにきれいに紅葉していたのかと思うと、ちょっと嬉しいです.


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一ノ越から室堂に向かう道と合流しました.時間は16時30分.あと10分でゴールの予定.


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室堂ターミナル前に到着です.ご苦労様でした.そして、立山三山縦走成功、おめでとうございます.ありがとうございます.いや?、最高にしんどい、と言いたいところですが、終わってみれば、今年の3回の登山の中では一番楽かな.これは成長のためか、慣れのためた、ただの運か.実力が上がったわけではないことだけは確かです.


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最後に、室堂ターミナルから浄土山方面.やっぱり雲の中ですねぇ.最後の下りが晴れていたのだけでもラッキーでした.岩のカゲから室堂ターミナルが見えたときに「ざまぁみやがれ」と言った私ですが、あれが見えたから終わりが見えて、精神的に頑張れたことは間違いないです.もし最後の最後までガスっていて見通しがきかなかったら、一ノ越からの道と合流するまで、不安な気持ちを抑えながら歩き続けなければなりませんでした.最後が晴れていたのは、本当にありがたいことです.


さてさて、富山に引っ越してきたからには立山に登らんじゃなんねぇという安直な気持ちから初めて立山に登ったのが8月.そのときにおじさんから聞いた「立山三山縦走」というのを達成しようとして失敗したのが9月.そして、もう今年は無理だから冬の間に体力をつけてまた来年がんばろうと思って、紅葉を見に登ってみたら、立山三山縦走ができてしまった10月.今回、三山縦走に成功した最大の要因は、「運」でしょうね.天気の具合が絶妙だったということ.適度に気温が低くて、余分な汗をかかずにすんだこと.風が強くなかったので、寒かったり暑かったりという変化があまりなかったこと.日があまり照らなかったのも良かったかもしれません.まあ、山では天気が一番大事な要因でしょう.そして、天気が体に合わなければ、さっさと引き返すあきらめのよさも、命を守る上では大事でしょう.それでも成功をしたければ、それらをすべて跳ね返すだけの体力と技術を身につける必要があるのでしょう.たぶん、どんな悪天候でもその道を歩いて行けるというレベルの人なら、天気が良ければお散歩気分で歩けるような、山では天気によってそれくらいの難易度の差があるんだと思います.実際、私が浄土山に向かって登り始めたあと、ろくに荷物も持たずにジョギングみたいなペースで登ってくる二人連れに二回であいました.どちらも私に「大丈夫ですか?」と声をかけて通過していったのですが、あれはたぶん、山小屋の関係者の方が、私みたいな素人登山者が遭難しかかってないか、見回りをしてくれているんだと思います.あれくらいのレベルになれば、嵐の中でも行けるんでしょうね.

そしてもっと上のレベルの人たちが、富山県警山岳警備隊の方々.ヘリコプターが飛べないような悪天候でも遭難者のいるところまで登り、遭難者を救助して、最悪の場合、遭難者を背負って下山するそうです.もう人間とは思えないレベルです.いやホント、自分と他人の2つの体を生きたまま下山させられるだけの実力があるのですから、通常の人間の2倍以上の力量がないと無理でしょう.驚くべき能力ですが、その能力のお世話にだけはならないようにしたいと思います.道に迷って交番でお世話になるのとはわけが違いますからねぇ.私のような中年初心者は、「天気が悪かったら登らない」、そして「しんどいと思ったらすぐに帰る」.これにつきます.あ、そのまえに、「無理な計画はしない」.


ところで、バスターミナルで最終バスを待っていたら、あの別山山頂で出会った、真砂山山頂で追い抜いた、かわいらしい女性がバス待ちの列に並んできました.ってことは、いままで山にいたってことですよねぇ.私と同じように、始発で山に入って、最終で帰るんだろうか.でも始発のケーブルカーにはいなかったと思うんだけどなぁ.今日はどこから出発したんだろうか.なんであんな軽装なんだろうか.ホントに不思議な人だ.


無事にバスに乗り込んで、呆けたように座っていたら、なんか顔がかゆいんで指でちょっと掻いたら「ジャリッ」って.なに?と思って指先を見ると、細かい白い砂粒みたいなものがビッシリ付いています.確かに足回りは砂だらけだけど、顔に砂かぶるようなことはなかったし何だろうか、と思ったのですが、ちょっとなめてみたら「しょっぺぇ!」.塩です.まあ汗ですよね.気温が低かったので汗が流れることはなかったんですけれど、それでもちょっとずつ出ていた汗が、出た瞬間に気化して、顔の表面に塩だけが残ったんでしょうなぁ.おでことかも触ってみたら、顔中ジャリジャリです.バス降りたらトイレで顔を洗って、その後でアクエリアスでも飲んどこう.


で、来年の目標にしようと思っていた「立山三山縦走」を達成してしまいましたので、来年の目標を新たに設定し直します.来年の目標は、「山小屋、もしくはテントを使った、2泊程度の登山」です.そして、できることなら、姫路にいた頃にバーのマスターが言っていた「高天原温泉」と「仙人温泉」に、ぜひ行ってみたいです(どこから行っても、歩いて二日はかかるらしいです).