幻魚白蝦蛍烏賊

げんげ、しろえび、ほたるいか blog

FLSUN QQ-Sを使っていて、どうも高さ方向でズレることがあるのは何でか、分解して中を見てみたら、ステッピングモーターの取付金具が曲がっているのを発見して、それを直しました.これで原点のズレもなおっただろうとテスト印刷をしたら、「バッキーン」と音がしてベルトが切れてしまいました.汎用のベルトを使って自分で直せそうだったので、amazonで注文をしました.


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これが届いたベルト.なんというか、飾りっ気も何もないです.


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FLSUN QQ-Sをイイ感じにバラします.購入後に荷物として到着した時よりもバラされています.


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確認したところ、ベルトがもう一本切れていました.

切れていないベルトを基準にして、新品のベルトを同じ長さに3本切り出します.歯付きベルトなので、歯と歯を向き合わせにして重ねると、同じ長さにしやすいです.これがズレていると面倒なことになりそうなので、慎重に何回か確認をしました.


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新しいベルトを入れます.一番上から引っ張るプーリーを入れ忘れないようにと気を付けていたはずなのに、組み立ての際に1つ入っていないことに気がつき、やり直しになりました.


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この黒いプラスチックの部品は、最初に組み立てた時にシャフトを固定するためのネジ穴がバカになっていたため、メールで連絡して新品の部品を送ってもらいました.この機会にこの部品も交換します.


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シャフトが6本立ったところです.


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組み立て完了しました.


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調整後にテスト印刷してみました.いろいろと定着に問題が出がちなPETGがこれだけキレイに付いているので、異常なしでしょう.

切れたベルトを観察していて、どっちも端から30cmくらいの同じような位置で切れていることに気がつきました.ホットエンドを支える黒いシャフトと6本のスチールシャフトを連結する部分でベルトが継いであるので、ホットエンドがかなり低い位置に来ると、ベルトの切れた部分がステッピングモーターの歯車くらいの位置に来て、その時に2本のベルトに負荷がかかって切れたのかなあって思って気がつきました.


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こいつですわ、こいつ.この、ノズルよりさらに下に付いているのが、オートレベリング用のセンサーです.これはマイクロスイッチで、オートレベリングの時にビルドプレートにゆっくり近づいていって、スイッチが入る位置を記録していってるんでしょうね.で、オートレベリングが終わってから、こんどはいつものようにプリンター用紙を使って、ノズルとビルドプレートの隙間の調整を手動でやります.このときに、ホットエンドは全速で下降してきて、ビルドプレートの直前で減速して止まるんですけど、このオートレベリング用のセンサーを外し忘れていると、減速する前にビルドプレートに全速で激突するんです.恥ずかしながら、私はその激突を2回ほどやっています.もちろんステッピングモーターは脱調して止まります.その時にモーター固定用の金具が曲がったんでしょうね.そして、タイミングベルトの心材の何本かが切れたと.そういうことなんだろうな、きっと.切れた本数が少なかったので、最初のうちは普通に使えてるっぽかったんだけど、ベルトがプーリーに乗り上げたりしてストレスがかかるたびに1本ずつ切れていって、最後の1本が切れたところで印刷不能になったんだ.なんてこったい.

オートレベリングのあとゼロ点の手動調整をする前に、忘れずにオートレベリング用のセンサーを外しとけって話です.

ステッピングモーターの取付金具が曲がっていた部分もちゃんと直したし、これで正常動作に戻るに違いないと、さっそくオートレベリングを開始しました.その後、ゼロ点合わせも行い、テスト印刷をしてみたのですが、まったく原点が合っていない.もう一回オートレベリングからゼロ点合わせをしましたが、まったくダメ.オートレベリングで拾った位置を全部手動で合わせ直して、なんとかテスト印刷が開始できました.

しばらくして異音発生.「バッキーン」っていうような、テンションがかかっていたモノが外れるような、ギターの弦が切れるような音.「ええっ?」と見ると、もう一回「バッキーン」それから「ガタコン」みたいな音.これはマズいと思って緊急停止.各部を見てみると、
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あれまあ、ベルトがひっくり返ってます.


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裏蓋を外してみると、どうやったのかわからないくらいキレイにひっくり返ってます.


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ベルトを観察してみると、なんかここだけ波打っている.ひっぱるとここだけ伸びる.切れてるやんか.ベルトの中に入っているスチールか繊維か知らないけど、切れてます.

これもう印刷不可能だろう.ベルトって交換できるんだろうか.いやまあ、誰かが組み立てたんだから交換は出来るんだろうけど、自分で交換できるんだろうか.ベルトの切れ目というか継ぎ目というか、どこだ.


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見える範囲でベルトに継ぎ目はないので、継いでいるとすればこの中だろうなあ.ここを開けてみます.このネジ、ビスではなくて、木ネジのようなタイプです.ネジ穴側はプラスチック製だし、開け閉めを何度も繰り返すとバカになりやすいので注意が必要です.


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フタを開けると、こうなってました.


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意外と簡単な方法でベルトが継いであります.安物のベルトだけを注文すれば、自分でも直せそうです.

ということで、ベルトだけ注文することにしました.何を注文するかですけれど、検索してみたところ「GT2 タイミングベルト」というモノでいけそうです.どこまでが規格なのかわかりませんが、幅が6mmで、歯のピッチが2mmのベルトです.3D プリンター用っていうモノならまあ大丈夫だろうと、amazonで10mで¥850のを注文をしました.

結論から言うと、オートレベリングのあとゼロ点の手動調整をする前に、忘れずにオートレベリング用のセンサーを外しとけって話です.外し忘れると、FLSUN QQ-S本体に、致命的な損傷を与える可能性があります.

最初は初期不良じゃないかって疑っていたんですけど、どうやら私の操作ミスで、FLSUN QQ-Sに致命的なダメージを与えていたみたいです.買った直後から快調に動いていたように見えたんですけど、1つだけ不思議な点がありまして、ときどき原点がズレるんですよね.最初は5回に1回くらい、1層目のときにノズルが近すぎて樹脂が出てこないことがありました.全体的ではなく、部分的にノズルが下がりすぎだったり上がりすぎだったり.最初は一番上にある原点リミットがガタついているかと思って確認しましたが、ガタつきは無しでした.よくわからないものの、一度電源リセットをすると普通に使えていたので、そのままにしていたんですが、最近は異常動作の頻度が上がってきて、50%くらいは異常動作になってしまいました.

何かがおかしいと思って各部を観察してみると、
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これがたぶん正常な状態.


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となりの軸はこんな状態.ベルトがハの字に開いています.


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そのまた隣がこんな状態.こっちはハの字より複雑っぽい状態です.どうなってるんだ.

この下にはほんの数cmの距離で、ステッピングモーターの歯付きプーリーがあるのですが、それでこの状態っていうことは、ベルトがプーリーに乗り上げているんじゃないですかね.


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裏蓋を開けてモーターを外してみてみたら、取付金具がこんなになってる.なんすかこれ.


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これだけ曲がっていれば、ベルトが右側の方に寄って行って、プーリーの壁に乗り上げても不思議はない状態です.ひどいなあ.


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モンキーレンチとプライヤーでキュッと直してみました.


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もう一つのモーターの金具も、さっきほどじゃないですけど曲がってます.


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金具を真っ直ぐにして組み直すと、こういう状態になります.あの金具をあんなふうに曲げるためには向こう側からベルトを大きく引っ張る必要があります.ベルトを横に引っ張ったり間隔を広げてみたりしましたけど、ちょっとやそっとの力ではビクともしません.自分で3D プリンターを組み立てている途中でちょっと異常なテンションをかけてしまったっていう程度では、あんなふうに曲げることは出来ないでしょう.

このあと普通に組み立てました.モーター取付金具の曲がっている部分を修正したことで、ベルトがハの字になっているのもなおって、やっと正常動作になったと思ってましたが、このあとチョロッと使った時点で、症状が大きく変化します.

AirPods Pro と Apple TV.

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Apple TVでAirPods Proを使っていて気がついたことを書きます.

その前に、「AirPods Proに対応するために最新のOSにバージョンアップしてください」っていうのを見かけますけど、そのことに触れておきます.AirPods Proを使うだけなら、たぶん最新のOSにバージョンアップする必要は無いです.AirPods Proは普通のBluetoothイヤホンとして使えるので、古いApple製品でも、Apple以外のメーカーの製品とでもBluetooth接続して使うことは出来ます.AppleのWebページに書いてある「対応機種」っていうのは、「最新のOSにバージョンアップできる機種」っていうことだと思いますけど、ただ使うだけなら、最新のOSにする必要は無いですし、最新のOSが使えない機種でもAirPods Proを接続することは出来ます.


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録り溜めした動画用のサーバーに使っているMac mini(Early 2009)のEl Capitanでも、ちゃんと接続できましたし、音も出ます.他にもiPhone 5c(iOS10.3.3)とも接続できています.

じゃあ、AirPods Pro対応のOSっていうのは何なのかっていうことですけど、私が思うに、たぶん次の2点に対応しているかどうかっていうことなんじゃないかと思います.

まず初めは、他の機器につながっているAirPods Proの接続を奪い取るのが簡単だという点.接続先がiPhone1台だけの人とかにはまったく関係のない話ですけど、iPhone、iPad、Mac、Apple TVとか、接続先がたくさんある場合、動画や音楽の再生を始めてから「音が出ねぇ、コイツ一体どれにつながってるんだよ」ってなった時に、再生状態から簡単にAirPods Proの接続を奪い取ることができるかどうかっていうことです.AirPods Proに対応していないOSだと、音が出ないことに気がついてから、環境設定を開いてBluetoothから接続先を選び直して、もう一度再生画面に戻るっていう手順になると思います.対応しているOSだと、再生画面から簡単にAirPods Proの接続を奪うことが出来ます.


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iPhoneだとこんな画面です.このときにはAirPods Proは別の機器と接続中なんですけど、この画面からiPhoneに接続を切り替えることが出来ます.


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Macだとこんな感じで.

接続先の切替のわずらわしさが「ちょっとだけ」軽減されるっていうことですね.この「ちょっとだけ」が結構大きいんですけどね.

AirPods Pro対応OSの二つ目の機能は、AirPods Proの感圧センサーを長押しした時にノイズキャンセルモードの切替をするのか、Siriの呼び出しをするのか、その設定変更ができるっていう点.


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iPhoneだと、この画面の一番下の部分で設定変更できます.


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Macだとこの画面です.

前にも書きましたけど、この設定はAirPods Proに保存されるのではなくて、接続先のMacなりiPhoneなりに保存されているので、Macでは右長押しでSiriさんが出てくるけど、iPhoneでは左長押しでSiriさんが出てくるとか、そういう設定にして頭を大混乱させることも出来ます.

さてここでようやくApple TVの話です.tvOSは13.2以降でAirPods Pro対応ということだったので、早速アップデートをしました.ちゃんと動画再生開始してから接続先をAirPods Proに切り替えられるようになりました.でも、音量をちょっとだけ大きくしたくて、左長押しから「音量を大きく」って言っても、何の反応もありません.おっかしいなあと思って何回かやってみたけど変化無しです.で、この設定はAirPods Proに保存されているわけでは無いっていうのを思いだして、そういえばApple TVでこの設定をしたことなかったけど、一体どういう設定なっているのか見てみようとしました.でも、どこを探してもその設定がないんです.

夜中だったし酔っ払ってたし、もういいやってそのまま寝たんですけど、今日になってからAppleのサポートに連絡して確認してもらいました.私の興味本位の質問にも丁寧に対応してくれました.

現状では最新のtvOSでも、感圧センサー長押しの時の動作を変更する機能はサポートしてないそうです.たぶん次のバージョンアップで対応するんじゃないかな、くらいの感じでした.センサー長押しをした時に「ベコンッ!」って音がしているので、何かしらモード切り替えが行われているようなんだけど、何が切り替わってるんでしょうと質問をしたところ、「非常にアナログ的な回答で申し訳ないですけれど、外の音が聞こえたら外部音取り込みモードで、外の音が聞こえなければノイズキャンセルモードです」ってことでした.tvOSだけ、ちょっと片手落ちだったってことですね.

こうなってくると、センサー長押しの時の設定がAirPods Proに保存されないっていうのが欠点になってしまいますね.しばらくはApple TVでは長押しでSiriさんを呼び出すことは出来ないようです.

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AirPods Proとても良いです.主にドラクエウオークで散歩する時に使っていますけど、音はもちろん、首を思いっきり振っても外れる気配まったく無いでですし、幹線道路沿いや高速道路の下なんかではノイズキャンセルモードにすれば本当に静かだし、そうでないところでは外部音取り込みモードにすれば、後から来る自転車の音も普通に聞こえます.なんというか、人間の思考というか行動というか、そういうのに違和感を感じない製品設計っていうのは、さすがAppleだなと思います.

しばらく使っていて気がついたことがあります.悪いことじゃないんですけど、ちょっと不思議なことです.あまりにも違和感無く使っているので、歩いている途中で「なんでこんなところ飛行機が飛んでるんだろう」って上を見上げたら旅客機じゃなくて軍用機だったので、「軍用機は普通と違うところも飛ぶんだな」って思ってから、「なんで上からの音ってわかったんだろう」って気がついたり.
聞き慣れない鳥の声がして、「どんな鳥だ?」って首を振ったら、通りの向かいのマンションの上のアンテナにとまっているのを見つけたり.外部音取り込みモードが素晴らしいのか、人間の脳みそが素晴らしいのか.


耳は左右に二つあるので、正面に向かって右や左から聞こえてくる音は方向がわかっても当たり前だと思うんですけど、上下方向ってどうやって判断してるんでしょうね.上からの音は、なんで上から聞こえる気がするのか.どうやってるんだろう.耳で直接聞いている時は、あの複雑な耳の形の影響で、上からの音は前からの音と比べて特定の周波数がカットされているとかあるかもしれませんけど、AirPods Proをつけて外部音取り込みモードを使っている時には、外の音は一度マイクで拾っているので、そういう変化も無いでしょう.でも、AirPods Proをつけていても、後から来る自転車の音は後から聞こえるし、飛行機の音は上から聞こえるし、橋の下を流れる川の水音はやっぱり下から聞こえる.どうなってるんだろうか.

ベッドで仰向けになっている時に、隣の部屋のテレビの音は足下から聞こえてくるんですけど、その状態でAirPods Proをつけると、テレビの音は天井の方向から聞こえてきます.脳みそが勝手な思い込みで方向を判断してるわけでもなさそうです.ほんとうに、どういう仕組みなんだろうか、とても不思議に思います.他のイヤホンの外部音取り込みもこんなふうなんだろうか.

柔らかいTPUフィラメントを使って、スピーカーのエンクロージャを作っています.本当の初期型の黒い0号機.初めてステレオ再生が出来た白い1号機と2号機.堅いフィラメントだとどんな変化があるのか確かめた茶色い3号機.実はこのあたりから、疲れてしまったのか急いでいたのか、写真をほとんど撮っていません.なので、ここからは話が一気に飛んでいきます.なにしろ何をやっても上手く行かなかった時期です.根拠もなく特性もわからないままやっているんですから、簡単に結果が出る方がおかしいんですけど.思いつきだけでいろいろやっていた時期です.


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これは4号機です.外壁の内側にちいさな三角が沢山はえています.


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やがて三角はつながって、外壁の内側のもう一つの壁になります.壁を二重にして、間の空気振動は三角の開口部から後に抜いたらどうなるかと思ったわけです.


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しかし、予想外の部分で破綻しました.これは印刷中の振動で印刷物が振動して位置ズレを起こし、本来とは違うところにTPU樹脂が積み上がっていった結果です.こういうことへの対策も設計段階で作り込まないといけないんだなあ.


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お尻の部分にこういうものを差し込めるようにしました.いろんなサイズに交換することで、音の変化を確かめられると思ったんですけどね.


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これは、一番後から生えていた5枚の壁を、途中から生やすようにしたものです.今までは外壁が後から前まで5枚の壁で拘束されていましたが、こいつの外壁はかなり自由な状態になります.


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これは、配線を通すための専用の穴を設けたものです.


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配線とバスレフポートを分けることで、密閉にしたり、ポートサイズを変えた時の変化がわかりやすくなるかもしれないと考えました.


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これは、5枚あった壁を7枚にしたものです.見えにくいですけど、開放されていた後ろ側を密閉して、その代わりに専用のバスレフポートをその下に設けてあります.なんかこうやって、ちょっとずつ変わっていったんですねぇ.


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こんなのも作りました.これはPETGを使っているので糸引きだらけです.バスレフポートを前に持ってきたタイプです.本当に全力で迷走してるって感じです.


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そうこうしているうちに、amazonで予約してあった、「第10回 自作スピーカーコンテスト」に使うスピーカーが届きました.


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中のスピーカーはこんなものです.意外とでかい.ワクが広いのが、卵形エンクロージャには辛いところだけど、どうなるだろうか.

いろんなファイルのタイムスタンプを手がかりに調べたところ、OM-MF519が届いた時点で作っていたエンクロージャは22号機あたりだということがわかりました.20個以上作ってようやく少しわかってきたのは、普通に木工細工でエンクロージャを作る時と全然違う要素があるということ.同じ形だからといって、同じ音になるわけでもないんです.

あまりにも混沌としてきたので、一度もとに戻そうと、2号機の図面で印刷してみたんですけど、全然音が違ってるんです.スッカスカのラジオみたいな音になってしまって.これで元に戻らないって、何が違ってるんだろうかって考えたら、きっと印刷温度や印刷速度によって音が変わるんですよね.そりゃまあ、微妙に溶かした樹脂を積み上げていくんだから、何度で溶かしたかによって出来上がりが変わったり、ノズルの移動スピードによって下の層との結着具合が変わるのは、当たり前といえば当たり前です.しかも、TPUは柔らかいですから、そこら辺の条件で完成品の弾力性なんかも変わるんでしょう.そうすれば共振周波数や振動の様子も変わるだろうし.はあ、なんかもう条件が多すぎて、何をどういじればいいのか見当も付かない状態です.とりあえず不確定要素を少しでも減らすために、印刷温度や印刷速度などのスライス条件は変更しないことにしました.

ここからくらいですね、ちょっとずつですけど前に進んでる感じが出てきたのは.

3D プリンターでエンクロージャを作り始めてから、1号機と2号機がそろって、初めてステレオで音楽再生が出来ました.いろんな音楽を聴いているうちに、「妙に」というのも変なんですけど、妙に低音が出ているような気がして、その要因が何なのか探るために、柔らかいTPUでは無くて、堅いPLAを使って、2号機と同じ形のモノを印刷することにしました.ただ、TPUの柔らかさを見込んで作ってある部分は、そのままでは使い物にならないので、PLAに合わせた変更をしてから印刷開始しました.


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印刷中は気がついた時に様子を見に行っていたのですが、あれ、ノズルと印刷面の間に隙間が出来ている.って、印刷止まってるやんか.


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見ると、エクストルーダのところでPLAフィラメントが折れて、そのせいでフィラメント送りが出来なくなっていました.なんてこったい.ここまで印刷するのに40時間くらいかかってるのに.


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早速エクストルーダの改造を行います.上のちいさな穴がフィラメントが入るところです.


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途中は省略しますが、こうなりました.5mmのドリルで下穴を開けて、M6のタップを立てました.


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予備の部品を使って、テフロンチューブを増設します.


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これでもう、フィラメントが折れるなんていうことは起こらないでしょう.


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最初から印刷し直すと絶望的に時間がかかるので、足りない部分だけ印刷することにしました.


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ここから印刷開始です.


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先っぽだけ出来ました.


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本体の方にたっぷりとボンドを塗って、


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先っぽを乗せます.


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重しをかけてしばし放置.ここでも謎の秤の分銅が役立ちました.


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1号機から3号機に内臓を移植して試聴します.右側は2号機です.


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アプリで測定してみると、左右チャンネルでそんなに大きな差は無いんですけど、音楽を聴いてみると、明らかにPLAで作った方は低音が足りないような気がします.

1号機と2号機の時も、けっこう長時間聞いているうちに低音が出るようになったようなので、3号機もいろんな曲を鳴らし続けたんですけど、やっぱり物足りないというか張りがないというか.そんなことは無いはずだと頭で考えても、音楽を聴いてみると、1号機と2号機の組み合わせの方が断然楽しい感じがします.柔らかいTPUを使ってエンクロージャを作ると音響的に何か意味が有るんではないだろうかと考え出したのはこの頃からですね.でも、根拠も証拠も手がかりも何もなくて、もちろんネットにはそんな情報はないし、ここら辺から意味不明な泥沼にはまっていくわけです.思いつくアイデアを実行していくのですが、何をやっても「1号機と2号機の方がいいじゃん」っていう結果になってしまいます.本当にゴールまでたどり着けるんだろうかっていう、辛い時期に入りました.

先日締め切りになりました第10回自作スピーカーコンテストに、3D プリンターで作ったスピーカーを出品しました.その出品作まで至る過程を紹介しています.黒い0号機と、その改良型の白い1号機が出来上がって、音出しも出来ました.ステレオで聞くために、1号機と同じ特性の2号機を早速作ります.


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2号機を印刷してます.1号機とは違っている点もあります.この写真でもわかる部分です.


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出来ました.奥の黒いのが0号機で、左の白いのが1号機で、手前の中身が入っていないのが2号機です.


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1号機と2号機で違っているのは、この足の部分の形です.これは1号機の足.


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これが2号機の足.たったこれだけのことなのに、Fusion360でエラーが出まくって本当に苦労しました.私が、微妙なラインの面を突き合わせすぎたのが原因なんですけど.


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中の構造も、1号機と同じ感じです.


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奥の0号機から内臓を移植して、2号機の完成です.


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やっと私の環境でステレオ再生が出来るようになりました.


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いつものアプリで、左右の特性を測ったものです.青いのが右で、赤いのが左です.

いろいろなソースを取っ替え引っ替え聞いているうちに、エージングが進んだのか、なんかえらい低音がボンコボンコいうようになって、今まで使っていたTD307IIでは明らかに出ていなかった音が聞こえるようになりました.曲のコードが自分が思っていたのと違っていることに気がついたりして、「この曲ってこんな音が入ってたんだ」とかいうこともありました.ヘッドホンで確認してみると、確かに入ってる.何かが変だと感じるようになり、とりあえず原因が何なのか探るため、柔らかい材料では無く堅い材料で同じ形のモノを作ってみることにしました.それが3号機になります.

前回の0号機の結果をふまえて、次の1号機を作っていきます.改善点だらけの0号機のようにも見えますが、いい結果だったところもちゃんとあります.秤の分銅をボルトナットで連結して、スピーカーユニットと磁石で連結して、それをエンクロージャの前からスポッと入れて、前に抜け落ちないようにナットで止める機構は大成功でした.でもそれ以外はほぼ全面変更かな.とくに、0号機は前面を下にする方向で印刷していたのを、1号機では前面を上にする方向で印刷します.中の壁の生え方とか全部見直しです.あと、250Hz以下の音が出ていないようなので、もうちょっと容量があった方がいいんだろうと思い、容量を稼ぐためにちょっと太めにしました.本当は全体的に大きくしたいところですけど、3D プリンターの高さ方向の印刷範囲がギリギリなので、余裕のある水平面方向だけ大きくしました.

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ケツから印刷していきます.高さ方向は本当に余裕がないので、すぐに壁を生やします.壁は5枚ですね.


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この頃はまだ、ほぼ後の端から前端まで5枚の壁が生えていて、それでエンクロージャを支えつつ前後方向の圧縮に耐える形になっています.これが最善と思っていたんだろうけど、今とはずいぶん違ってるなぁ.


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印刷できました.


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前から見たところ.スピーカーユニットがぴったりはまるように段差がつけてあります.


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中の様子.やっぱりフィラメントが白だと、写真に撮ってもよく見えます.この真ん中の筒状のところに、重りとスピーカーユニットがスポッと入ります.奥にあるちいさな穴にボルトを通して、後からナットで止めます.筒の内側は重りとスピーカーユニットで埋まりますので、筒の外側が音響的に使うことが出来る空間です.


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後ろから見たところ.印刷中はこの面で全体を支えて、Y軸方向の振動にも耐える必要があるので、だいぶん肉厚にしてビルドプレートへの密着性を高めています.



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重さは370gくらいです.私の使っているTPUフィラメントは1リール800gなので、ギリギリ2つ作れるくらいです.


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重りとスピーカーユニットをスポッと入れます.


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後からナットで止めます.印刷方向の関係で壁は45°で水平には出来ませんので、別に作った円錐型のスペーサーを入れています.


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0号機と並べたところ.これで見るとよくわかりますが、0号機はスピーカーユニットが水平方向を向いているのに対して、1号機は20°ほど上を向かせています.


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こんなふうに私が使うべき場所に置いた時に、一番良い角度は何度なのか測ったら20°でした.こういった超個人的な現物合わせが出来るのが自作の良いところですね.スタンドとか角度調整機構とか、面倒なことを考えなくてすみます.


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アプリで特性を測ってみました.まずは比較のために前回の0号機を.青いのが今まで使っていたTD307IIで、赤いのが0号機です.やっぱり250Hzくらいで共振して、スコーンと低音が無くなっています.


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こちらは、青いのがTD307IIで、赤いのが1号機です.0号機より容量を大きくしたので、様子がどう変わるか楽しみだったのですが、250Hzあたりの共振が小さくなっているのと、それ以下の部分もちょっとだけレベルが上がっています.

ま、順当な変化ですね.ちょっと太目にして容量をかせいだ効果があったってことでしょう.まだ1本しか出来ていないので、早くもう1本作ってステレオで音楽再生したいところです.ということで、取り急ぎ2号機を作ります.

やっと一山越えたわ.ずいぶん前からの話になるのですが、このblogの「2019年6月 9日 タイムドメインスピーカ TD307IIの改造」以降ずっと、3D プリンターでスピーカーのエンクロージャを作ることにトライしていました.かれこれ4ヶ月ほどでしょうか.途中いろいろと寄り道もあったのですが、もうこれで完成っていうモノが出来て、その出来映えを確かめるべく音楽之友社で行われる「第10回 自作スピーカーコンテスト」に応募しました.音楽之友社から出ているムック本である「これならできる 特選スピーカーユニット 2019年版マークオーディオ編」に付録で付いてくる「マークオーディオ製8cmフルレンジ OM-MF519」を使った自作スピーカーのコンテストです.話の順番としては、最初にTPUフィラメントを使ったグニャグニャに柔らかいエンクロージャって面白いんじゃないかと思い、いろいろやっているうちに結構いい感じの音が出るようになってきて、そのころたまたま上記のコンテストがあるのを知って、じゃあいっぺん応募してみるかっていうことで、頑張ってみました.

私は20年くらい前に、いくつかスピーカーのエンクロージャを作ってみたことがあります.バスレフの共振のさせ方とか勉強して、日本橋に行ってfostexのスピーカーユニットを買ってきたり、東急ハンズで木を切ってもらったりして.でも、けっきょく思ったほど良いものは出来ず、いくつも作ると置き場所に困るし何より金がかかるしで、最近は、そういうことからは全く遠ざかっていました.最終的にオーディオ機器として使っていたのは、TD307IIに専用アンプを組み合わせて、音源はiTunesでっていう環境でした.

久しぶりにスピーカーに関わってみてものすごくビックリしたのは、スピーカーユニットの進歩です.昔なら8cmのスピーカーなんてトランジスターラジオに使うくらいのイメージだったのに.仕組みや構造が大きく変わったわけでもないのに、何でこんなにちっちゃなスピーカーであんなに分厚い低音が出るのかメチャクチャ不思議です.気がつかないような部分でも世の中ってもの凄く変化しているんですね.

ということで、コンテスト応募作品に至るまでの過程の話になります.


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もともとは、TD307IIを改造してこんなモノを作りました.タイムドメインスピーカーの解説で出てくる話の中で、スピーカーユニットの後にグランドアンカー(重り)を付けて、不要な振動を排除するっていうのはとても理にかなっていると思います.


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今回使うスピーカーユニットはTD307IIの改造に使った「HiVi B3N」です.使い回しです.これを手で持った状態で音を出すと、思いのほか激しい振動が感じられます.その振動を抑えるために重りをつけます.


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とりあえず、こんなものを印刷しました.TPUです.


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そして用意した重りがこちら.オークションで入手しましたが、詳細不明の古い秤に使う分銅のようです.1個650gくらいあります.ネジで2つ連結してあります.


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こんなふうにネオジム磁石を取り付けます.マジックで印をつけて、表裏が交互になるようにしてあります.磁石がお互いにくっつかないように、さっき印刷した部品を使います.


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これをスピーカーユニットにくっつけます.かなりしっかりと結合できます.


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重さは1.8kgくらいになります.この状態で、手で持って音を出しても、振動はほとんど感じられませんでした.「余計な振動が起こらないのであれば、カチカチのエンクロージャに固定して動きを拘束する必要は無いんじゃなかろうか.これを水平にヒモでつるして、後に出る音を遮るためにビニール風船みたいなもので覆えば」っていうイメージが、TPUでエンクロージャを作ろうと思った最初のきっかけです.


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ポチポチとエンクロージャの形を考えて、まず印刷できる構造か確かめるためにミニチュアを印刷してみます.フニャフニャですので、形状は球形か卵形しかないでしょう.


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写真ではわかりにくいですけど、中は糸引きでモジャモジャになっています.3D プリンターのノズルの移動とか考慮した設計をしないと、鳥の巣のようなモノが出来てしまいそうです.


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それをふまえて、設計し直したモノを印刷開始です.スピーカー取り付け面が下になるような形状になっています.


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サポート無しで印刷するために、壁が生えるところは全部45°よりキツくならないようにしてあります.


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印刷完了しました.記念すべき0号機の完成です.なんで1号機じゃないのかというと、このあと5個くらい作った頃に、「どれがどれかわからなくなる前に番号を振ろう.これは5号機で...」とマジックで書いていたら、1つ数字がズレていて、こいつは0号機になってしまいました.


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スピーカー取り付け面から見たところ.見にくいですけど、45°以下に設定したはずなのに、いろんなところの斜め面がたれてきています.


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後ろ側はきれいな出来映えです.この時点ではまだ後方は開放というか、バスレフとかのことは考えてないです.


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一番の特徴である柔らかさ.じつは壁の厚さが5mm位あって、そんなに柔らかくないです.けっこう力はいっています.


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こんなふうにスッポリと、重りと結合したスピーカーユニットを入れます.この構造は問題ありませんでした.


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背面から出たネジをナットで止めます.とはいっても、重りとスピーカーユニットは磁石でくっついているだけなので、本気で締めると外れてしまいます.ナットを手で持って締める程度です.


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鳴らしてみた結果をアプリで測定しました.青いのが以前作ったTD307IIを改造したもので、赤いのが今回作ったものです.250Hzくらいで共振して、そこから低音はスコーンと無くなっています.ま、初めてだし、こんなもんですわな.

今回は、自分の考えているものが、印刷可能か、構造的に成り立つのか、その確認が一番の目的ですし.今回の結果をふまえて、スピーカーを後ろ向きで使うことはまず無いのに、スピーカーの後ろ側の方がきれいに出来上がるのは納得できないので、エンクロージャの印刷の向きを上下逆にすることにしました.後の方が細いので、それで本体を支えつつ、印刷時の前後の振動に耐えられるように、構造から考え直しです.この頃はまだ、1回ずつの変化というか進歩がわかりやすくて、楽しい時期だったなぁ.そのうちに、「まえ作った方が全然いいじゃん」っていう沼にハマっていきます.

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