「SONNET Encore/ST 1.4GHz G4」の取り付けについて.

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12月の初めに、某ショップでSONNETのCPUカードを限定10枚だけ安売りするという情報を得ました.私はこの「限定10枚」とか「最後の1つ」とかに非常に弱いのです.ということで、深く考えずに速攻で一番早い1.4GHzのカードを注文しました.
cube君には800MHzか1.2GHzのものしか使えないと明記されていたのですが、「1.2GHzが使えて、1.4GHzが使えんことは無かろう」と、軽い気持ちでいました.「恐らく、クロック数が上がったぶん消費電力が増えて、電源回路に負荷がかかり、発熱が増えるのだろうけど、私のcube君にはサーミスタ付きのファンがついているから大丈夫さ」と、それくらいの気持ちでいました.しかし、その後、情報収集をしてみると(買った後で情報収集をするのが悪い)、「1.2GHzで電源回路から発煙」とか「ハードディスク焼損」とか、恐ろしげな情報が出てくる反面、「1.4GHzの搭載成功」という情報は出てきません.
「なんかえらいもん買ってしまったなぁ」と思いながらも、「これ動かさんとシャレにならんぞ」と、対策を考えること数日、ついにCPUカードが届いてしまいました.
普段なら、喜び勇んでカード交換をするのですが、今回は、カードの外箱をにらみながら数日間悩んだ末に、「ええぃ、もうやったれ!」と半分やけくそで、カードの交換作業に入りました.
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これが、今回搭載するCPUカードです.放熱用のグリスを拭き取ってCPUのシルクを確認したところ、「XC7455B RX1400PF」とありました.私には何のことか意味はわかりません.
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とりあえず、現行の450MHzのままでCPUに高負荷をかけると、電源回路のどこがボトルネックになるのか確認するため、電源ボードをむき出しにします.
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取り外した電源ボードです.Spiricaの電源ボード移動キットを使用していますので、アルミ製のヒートシンクでがっちりとサンドイッチされています.
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下の電源カードが今まで使っていたものからヒートシンクをはずしたもの、上の電源カードは、部品取り用に、あらかじめオークションで入手しておいたものです.
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オークションで入手した電源カードの動作試験もかねて、こんな状態で電源投入.高負荷にすると、スイッチング用のFETや転流ダイオードあたりが発熱すると思っていたのですが....
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見事に予想は外れ、一番発熱したのはコンデンサ.しかもセラコン.う〜ん、私の経験では、セラコンなんて一番発熱しないはずなのに.こいつが発熱するっていうことは、セラコンでも追いつけないほどの高速な電流のON/OFFが行われているんだろうなー.だとすると、セラコンより高速なコンデンサを持ってこないと対策にならない.セラコンより高速なコンデンサって、フィルムコンデンサ?でもあれって値段高いし大きいし、でもしょうがないからとりあえず買ってこよう、ということで、部品屋さんへ.
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いかにも「やっつけ」という感じですが、セラコンと並列に10μFのフィルムコンデンサと、DC28Vの供給元に2200μFの電解コンデンサを追加してみました.
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この状態で動作チェック.一応動作はしましたが、セラコンの発熱がおさまっている感じはありません.まあ、無いよりましだろうということで、これらのコンデンサを取り付けることにしました.
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各端子にリード線をつけて、熱収縮チューブで絶縁して、準備完了です.
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DC28Vの供給元に電解コンデンサを、5V、3.3Vのスイッチング部のセラコンにフィルムコンデンサを並列に接続しました.
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ついでに、5Vと3.3Vの出力端子にも電解コンデンサを取り付けました.はたして効果があるのかどうか、わかりません.
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また、この状態で動作試験.一応正常に動作しています.が、負荷をかけたときの発熱がおさまっている感じはありません.あんなにいっぱいコンデンサを付けたのに、何も効いてないようです.
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とりあえず、電源回路はこれくらいにして、どうせやるならいっそのこと、ということで、システムバスのクロックアップをします.100MHz→105MHzにクロックアップします.所定の抵抗を外すことで、クロックアップが可能です.これにより、CPUの動作クロックは1.4×1.05=1.47GHzになるはずです.
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で、やっとCPUカードの登場です.慎重にノーマルのCPUカードを外して、新しいCPUカードを取り付けます.
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また、これを機会に、冷却ファンのサーミスタが両面テープ止めであったものを、より温度変化に敏感になるように、熱伝導ゲルシートでの固定に変更しました.サーミスタが、ちょうどCPUのダイの裏側にくるようにします.
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さて、いよいよ1.47GHzでの通電試験です.いつもの通り、2礼2拍1礼した後で、電源スイッチを入れます.数秒後に「ジャーン」と音がして、あっけなく起動成功.早速Xbenchを実行しましたが、FFTのところでフリーズしてしまいます.CPUのチェックを外してXbenchをかけると、正常に終了しますので、どうも、ベロシティエンジンが動作するとフリーズするようです.
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ということは、電源容量の不足が考えられますので、とりあえず、ランドだけあって部品が実装されていない+側のスイッチングFETを追加するのと、過電流検出用の抵抗を並列つなぎにして、過電流検出値を2倍に増やしてみることにしました.
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赤丸の部分が追加したFETです.過電流検出用の抵抗は、基板の裏面にあります.
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またもや、この状態で動作試験.そろそろ発熱が怖くなってきたので、電源カード用のヒートシンクを付けてあります.が、なかなか安定して動作してくれません.
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それならばということで、今度はCPUカードの電源回路に電解コンデンサを追加してみました.電源回路の1次側と2次側にそれぞれ1つずつ電解コンデンサを付けました.
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組み立てた状態です.ロジックボードとの隙間から、電解コンデンサの頭が見えています.
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電源基板の発熱も気になっていましたので、電源基板のヒートシンクとcube君の内部フレームが接触する部分に熱伝導ゲルシートをベタベタに貼り付けました.写真の白いのがゲルシートで、黒いのが固定用の両面テープです.
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電源カードを所定の位置に納めた状態です.空きスペースは、コンデンサやらコネクタやらでグチャグチャになっています.もっと整理整頓出来ないものかな.
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一応、DVDドライブもおさまりました.
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しかし、どうしても動作が安定しないので、今度はCPUの冷却に目を向けてみました.標準のヒートプレートからCPUのダイがはみ出している部分に熱伝導ゲルシートを3枚重ねて張りました.これで少しはCPUが冷えるかなと思ったのですが、効果はあまり感じられませんでした.
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次は、CPUの電源回路の低インピーダンス化です.部品取り用の電源基板から外したセラコンをCPUの電源回路の1次側と2次側に取り付けます.
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1次側はあまり適当な場所がなかったので、元々ついているコンデンサの両脇に、半田でセラコンを固定しました(いわゆる空中半田).
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2次側にはコンデンサアレイ(コンデンサの串焼き?)を作成して取り付けることにしました.
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2次側にはタンタルが8個並列に入っているのですが、そこにさらに並列にセラコンアレイを接続しました.
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また、ロジックボードの電源電圧が不安定になっていることも考えられるため、電源コネクタの5Vと3.3Vの端子に電解コンデンサを追加しました.
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組み立てると、電解コンデンサがギリギリで収まっているのがわかります.
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この状態で、やっと元の姿に戻って動作チェック.よ〜く冷やした後でXbenchをかけると、何とか無事全テスト完了し、トータルポイントが140点を超えることが出来ました.
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翌日、今度はCPUカードのキャッシュメモリに熱伝導ゲルシートを貼って、熱をヒートプレートに逃がしてやるようにしたのですが、これも今ひとつ、効果がはっきりしませんでした.
結局、私のしたことは、コンデンサと熱伝導ゲルシートの追加に終始し、何がどれだけ効果があったのか全くわかりませんが、現在のところ、私的使用状況(Web閲覧、メール、デジカメの写真管理)では、不自由なく、安定して動作しています.ただし、iTunesなどでエンコーディングなどをすると、ファンの回転数がどんどん上がっていき、4曲目くらいでフリーズしてしまいます.やはり、ベロシティエンジンが動くとだめのようです.
ということですので、やはり1.4GHzのCPUカードを内蔵するのは、やめといた方がいいだろうというのが私の結論です、はい.