外部ファン取り付けに関する考察と実験.

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cubeの下の金属メッシュ部分には、□80のファンを付けるためのステーがあります.しかも、その上部に来るヒートシンクとの位置関係で、素直に取り付けが可能なファンは厚さが15mmのものに限られます.いったい、このステーは何のためにあるのでしょうか.

Appleのエンジニアが最後までファンレスでいけるかどうか自信がなかったことの表れか、将来発売されるであろう上位機種のための布石だったのか、ユーザが勝手に高速なCPUに交換する際に「どうぞ使ってください」というAppleのサービスなのか、それとも、ただのフェイクか.

こんなところにステーがあれば、誰でもファンを付けたくなりますよね.で、「これでcubeの熱対策になった」と思い、満足感を味わうでしょう.私もそうでした.何の迷いもなく、ファンを付けたのです.んがっ、最近、なんだかちょっとおかしい、というか、納得いかない、というか、しっくりこないような感覚が生じてきたのです.

私がcubeにファンを付けた時は、まだ寒い時期でしたが、最近は暑い.本当に暑い.で、ファンもブンブン回っているのです.cubeの排気口からも、ものすごい勢いで風が吹き出ています.で、「どんだけ風が出てんねん」と、排気口に手をかざした時に「あれっ」と思ったのです.「風がかたよってる」.わかりますか?.cubeの排気口に右手をかざすと、人差し指側はすごい風が吹いているのに、小指側はほとんど風が吹いていないのです.

「なんじゃとて」

なんどいや.なんで風がかたよるんでしょうか.風って空気ですから、「空気をかたよらせるってどういうこと?」、などと考えているうちに、ふと、昔の記憶がよみがえってきました.それは...

小学生の頃、わたしは「マブチの水中モータ」が欲しかった.電池とモータが一体の防水ケースに入っていて、おしりにスクリューが付いていて、プラモデルの船の底にそいつを付けるだけで、プラモの船が動き出すのです.でも、「水中モータ」は高かったのです.私にはそれは買えなかった.
で、私は、かまぼこ板にマブチの130モータを付けて、大きなプロペラをモータの軸に固定して、その推進力で動く船を作りました.お風呂に浮かべて、いざ、スイッチオン、そりゃ?.と思いきや、あららら、船は斜めに進んでいきます.何回やっても斜めに進んでいきます.なんじゃとて.私はお金がない代わりに知恵を絞りました.

というか、見てるうちに気が付いたのですが、プロペラはかまぼこ板から付きだした下半分しか水につかっていないので、プロペラが回転する時に、常に右から左方向に水をかいているのです.それで横に移動する力が発生していたんですね.

今風に言えば、プロペラは推進力を得るための媒体の中に完全に没している状態で初めて直進方向の力を得るわけで、例えばプロペラの半分しか使用できない状況では、プロペラの回転方向に媒体を集中させる力が働くということです.

まぁ、何というか、とりあえずcubeの排気口の上から、ヒートシンクの隙間を通して、回転しているファンの様子を見てみますと、見事に半分だけしか見えません.つまり、ファンは空気を上に押し出すと共に、回転方向に圧縮していたのです.そして、その空気は横方向への移動が出来ないヒートシンクのフィンの間を通るため、結局、かたよったまんま排気口から排出されていたのでした.

せっかくでっかいヒートシンクが付いているのに、これじゃぁ空気がビュンビュン通っているところ以外のフィンは、あんまり冷却には貢献していないではないか.なんか無駄だ.効率が悪い.私はこういうことがとても気になるたちなのです.

それに、空気とは相対的に高圧側から低圧側に移動するものです.1気圧に対して高いか低いかは関係ありません.冷却ファンの上は高圧、下は低圧なので、特に隔壁なんかを設けていないcubeの中では、ファンより上の空気がファンの下に移動することを止めることは出来ませんし、実際にそのような空気の動きがある程度は起こっているはずです.つまり、ヒートシンクを冷やすことなく、またもとの場所に戻ってしまっている空気がいくらかはあるということです.無駄ですねぇ.

また、cubeの排気口だって排気抵抗が0というわけではありませんから、ファンで加圧されてヒートシンクから出た空気が完全に排気口から排出されるわけではなく、いくらかの空気は、またcubeの筐体内に還流しているはずです.つまり、一度ヒートシンクを冷やして温度が上がった空気が、また冷却ファンから取り込まれているということです.これも無駄ですねぇ.

この無駄どうすりゃいいんだろうか.そんなこんなを考えながら眠りにつく日を何日か過ごすうち、やっと1つの答えが見つかりました.

cubeは下から入った空気で内部を冷却して、上から空気を吐き出す.ならば、極端な話し、上から掃除機みたいなもので吸引したらいいんじゃないの?.そうそう、上にでっかいファンを付けて、cubeの内部の空気をごっそり吸引してやればいいのだ.

ということで、早速実験です.

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 cubeの上にかぶせる吸引機のボディには、オートバックスで買ってきた自動車内用のゴミ箱を使います.大きさが手頃で、加工もしやすそうだったので.

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 で、ゴミ箱のふたを取って、ひっくり返して、□120のファンを取り付けるための穴を開けて、ファンを取り付けたのがこれです.実験ですから見た目が不細工なのは良しとしましょう.

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 このcube吸引機を装着した状態です.何とも不細工な状態ですが、冷却効果は絶大です.

結果ですが、まず、ファンの音が静か.□120のファンは□80のファンに比べて圧倒的に風量があって風圧も強くて、しかも静か.言うこと無しです.1400回転、24dBの静音ファンですが、冷却効果は大きく、夏場になってからiTunesでエンコーディングをすると、必ず3曲目くらいでフリーズしていたのですが、このcube吸引機を付けてからは、アルバム連続4枚エンコードしても無問題でした.

でも、見た目の不細工さがねぇ.cubeの雰囲気ぶちこわしですから.夏場限定ということで我慢するか、う〜ん、どうしようか.