アレニウスの法則.

私の友人がアレニウスの法則を「人間の体温と寿命との関係」にあてはめた考察をしていました.とっても面白い発想で、感心しました.私はわかっている範囲内で、普通にアレニウスの法則を説明したいと思います.

私はソフトが専門ですので、ハードウエアの寿命について、どういう手法で決められるものなのか、全く知りませんでした.ある時、ふと気になってハード屋さんに「製品寿命って過去の実績とかから推定してるの?」と聞いたのですが、「それじゃ製品保証が出来んだろうが.試験をしないと」と言われました.もっともな話です.しかし、5年も10年も、製品寿命が尽きるまで耐久試験をするわけにはいきません.そこで登場するのが「アレニウスの法則」という、ハード屋さんにとって非常にありがたいというか、都合のいい法則です.

詳細は知りませんが、ようするに「製品の温度が10℃上がると寿命が半分になる」というものだそうです.一概に10℃とも言い切れないようなのですが、通常は「10℃で半分」を目安にしています.ということは、20℃上がると寿命は1/4、30℃では1/8、40℃では1/16、50℃では1/32です.ですから、仕様で使用温度範囲が40℃までと規定してある製品を90℃の室温で使って1ヶ月間正常動作をした場合は、40℃で使った時には32倍の32ヶ月はもつだろう、という理屈です.こういうふうにわざと温度の高い状態で製品寿命を測定する試験を「加速試験」と呼んでいます.「加速試験」って、もっとかっこいいものだと思っていたのですが、ただ高温で24時間動作試験をするだけのことのようです.ついでにもっと条件を過酷にするために、湿度95%とかにすることもあります.

さて、温度が上がると寿命が短くなるということは、温度を下げれば寿命がのびるということになります.10度下げれば2倍、20度で4倍、30度で8倍、40度で16倍、50度では32倍になります.

これから暑い夏になります.テレビやパソコン、オーディオアンプなど、発熱をする製品は、温度をなるべく下げてやることで、寿命がのびるはずです.ほこりが詰まって放熱が妨げられていないか、たまには掃除をしてやるのもいいかもしれません(32倍はちょっと無理だと思いますけどね).