親父が逝きそうになりました.

いや冗談ぬきで.
左脳に、こぶし大の脳梗塞と、心不全、それに肺炎を併発していました.
最初は大したことない手術なので、あまり大げさにしないほうがいいということで、見舞いに行く予定はなかったのです.
でも、状況が一変して、もうこれが最期かもしれないということで、日曜日に日帰りで、名古屋の第2日赤病院に行ってきました.

みなさんは頚動脈が4本あるって知ってますか?
脳に血液を送る血管ですので、詰まった時のリカバリー用として、4本が平行して通っているんだそうです.
で、うちの親父は、そのうち太いほうの2本が、完璧に詰まってしまっていたそうです.
脳梗塞になる可能性が非常に高い、というか、健康に日常生活をしているのが不思議だというほどの状況だそうで、こめかみの動脈を脳の血管にバイパスする手術を受けることになりました.
この手術自体は日赤病院だけでも年に100件ほど行われているポピュラーなもので、成功率も非常に高く、失敗することはまず無いといわれていました.

手術は成功したようです.しかし翌日に、突然暴れ出して、ベットに拘束されて、検査をした結果、左脳の梗塞が発見されました.そして脳梗塞の治療を行っているうちに、心臓が耐えられなくなって心不全を起こし、肺炎も併発したそうです.

もう70歳を超えていますし、心不全と肺炎の併発はきついなぁ、と思っていました.名古屋に向かう新幹線の中では、もう顔を見るのは今日が最後だろうと、思っていました.
ところが、SCU(脳専用のICU)に入って顔を見るなり、「おう、なんだ、どうした」と、結構平気そうな顔で話しかけてくるのです.母親の話では、土曜日から始めた心不全の治療(体内の水分を排出して、心臓の負担を軽くするんだそうです)と、肺炎に対する抗生物質の投与がてきめんに効果を発揮して、非常に病状が好転したそうです.油断は出来ませんが、とりあえず、差し迫った死の危険はなくなったようでした.

左脳といえば、言語野がある所ですので、さぞかし言葉が不自由になったかと思っていたのですが、結構ちゃんと話します.ただ、8割くらいしか的確な返事が返ってこないです.話し始めると、ちょっと興奮気味になるので、酔っぱらったオッサンと話をしているような感じです.

ただ、医師がいうには、脳梗塞が起きた場所とその大きさから考えるに、明らかに障害が出てもおかしくない所に障害が出ていないんだそうです.つまり、普通の人の脳とは、機能分担がちょっとずれているようなのだそうです.ということで、症状が好転していっても、しばらくはSCUで様子を見ることになるようです.

現状は、生命の危機からはほぼ脱出して、快方に向かっているようで、私自身もろ手を上げて喜ぶべきなんでしょうけど、何だか心の奥底にズドーンと、重たいものを背負わされているような感じです.何事にも興味がわかず、何もする気が起こらず、何も手に付きません.いわゆるうつ状態というやつですね.

世の中ではたくさんの方が毎日亡くなられていると思いますが、ことが自分の肉親となると、やはり精神的にかなりこたえますねぇ.しばらくは何も手に付きそうにないです.