「げんげ」をいただいてきました.

このゴールデンウイーク中、富山の実家にいるときに、「最近有名になってきたから」ということで、「げんげ」という魚を食べさせてもらいました.「げんげ」とは、うちの嫁さんによると、子供のころに風邪をひいたりして体調の悪いときに決まって食べさせられたそうです.そして、義父さんによれば、「げんげ」とは、「下の下」のことで、ようするに「下魚の中でも最低」という意味だそうです.富山湾でよく取れる甘エビの網に一緒に入って、甘エビに傷を付けて商品価値を落としてしまうので、漁師のあいだでは嫌われ者、網に入っても海に捨てられていたような魚だそうです.

それが、最近のグルメブームやテレビ放送なんかの影響で「げんげ」に「幻魚」という漢字をあてるほど高級魚に成長してしまったのだそうです.この魚どんなのかといいますと、30cmくらいの細身の深海魚で、思いっきりぶつ切りにしてお吸い物の中に入っていました.中骨もそのままです.骨ごと食べられるそうです.さてその魚を食べようと思って箸でつまもうとするのですが、これができない.見えないバリヤーに守られているみたい.しょうがないので器に口を付けて、箸で魚を口にかき込みました.これがなんとも、ヌルヌルのネチョネチョです.体の回りに厚さが5mmくらいのヌルヌル層があります.もうどうしようもないので、ヌルヌルも骨も身もいっしょくたにして口の中でかみ砕いてしまいました.味は、言うほど特別美味ではありませんが、まあ、白身の淡泊なおいしい魚だと思います.

この魚は何のためにあんなに分厚いヌルヌル層を持っているのでしょうか.深海魚にはヌルヌルのものは多いですが、でも例えばアンコウのように、せいぜい表面だけさらっとヌルヌル、っていう程度のものでしょう.何であんなにヌルヌルなのか、やっぱり身を守るための進化の結果だと思うのですが、ヌルヌルで身が守れるんですかねぇ.ちょっと不思議です.

とはいえ、あの独特の食感が気に入ってしまい、姫路に帰るときにはぜひおみやげに何匹か買って帰ろうと思ったのですが、あいにく漁師もゴールデンウイークで休みということで、市場に「げんげ」はありませんでした.しょうがないので、また獲れたときに宅急便で送ってもらおうと思います.

ところで、ウィキペディアで「ゲンゲ」と入れて検索をすると、「レンゲソウ」が出てくるんですね.レンゲって本当はゲンゲが正式名称なんでしょうか.ちょっと意外でした.