いやー、ビックリした.

私が今のバイクを買ってから2年半になりますか.北陸では冬は雪と融雪剤のために乗れないですし、夏は暑くて乗れないですし(根性出せば乗れるんですけれど)、ついこの間、2013年の(バイク購入から3回目の)シーズンが始まったばかりです.これまで最も気にしていたこと、そして心の中で自慢していたことが、いっぺんもコケていないということです.走行中の転倒はもちろん、立ち転けもありません.細い道ではUターンせずに、大きな道まで出てからターンするとか、サービスエリアのバイク置き場から出るときも、エンジンかけてからバイクにまたがって、足でツンツンしてバックするのではなくて、スタンドをはらってバイクを引っ張り出してから進行方向を向けて、スタンドをかけてバイクにまたがって、エンジンかけてからスタンドをはらって出発するとか、ちょっと面倒くさい細かなことをちゃんとすることで、極力転倒を防いできました.それがこのあいだのツーリング中に、本気で転倒しそうになりました.あわやというところで転倒は免れましたが、自分で何とかしたのではなくて、結果として転倒しなかっただけで、もうどうなってもおかしくない状態だったと思います.


私がよく行くツーリングコースに、岐阜県の御母衣ダムがあります.私は若い頃にバイクに乗っていたときからダム湖が大好きです.アップダウンが少なくで平坦ですし、適当なカーブが続きますし、なによりダム湖と山の緑がきれいで眺めが良いから気持ちいいです.名古屋に住んでいたときにもよく御母衣ダムに行きましたし、富山に来てからもよく行くようになりました.この御母衣ダム湖畔の道路ですが、快適ではあるのですが、いささか古い道路なので(平行して東海北陸道が出来たおかげで新規の整備も行われてないみたいです)、きついカーブや、暗くて狭いトンネル内のカーブなんかもいくらか残っています.転倒しそうになったのは、まさにそういうところです.急な右カーブのまま狭いトンネルに入って、そのままトンネル内でカーブがややきつくなるというところです.ブレーキをかけたままトンネルに入るのですけれど、たぶん路面が濡れていたんだと思うのですが、急に前輪が外側に滑りました.とっさに右足が出て、「パッチーン」と路面を叩いたんですが、その時にはタイヤはグリップを取り戻していましたので、転倒は免れました.一瞬の出来事で、頭の中で「ヤバッ!」と思ったときにはすべてが終わっていました.


なにごとも「たられば」の話をするのはあまり意味がないのですが、あのまま滑っていたら、(急カーブでスピードは出ていなかったので)トンネルの内壁に激突とまではいかないまでも、壁まで滑って行ったのは間違いないと思います.それだけでは大したケガはしないと思いますが、後続車がいたら、大事故になっていたかもしれません.


バイクが止められるような広い場所に出てから、前輪の右サイドを確認してみたのですが、通常のグリップですり減った黒くなった部分の外側に、いっぺんもグリップしたことのない新品の部分、その中に明らかに新しくこすれたあとが一部分、10センチくらいありました.新品の部分にこすれた跡が残っているということは、本当にヤバイ状態だったんだなと思います.


なんで滑ったものの転けずに済んだのかはよくわかりません.滑った瞬間に反射的に右足が出て、路面を蹴りました.しばらく太ももの筋肉に痛みが残るくらい衝撃を受けたので、それなりの力で蹴っているのですけれど、自分の感覚では、足が路面に着地した瞬間には、もうグリップは取り戻していたと思います.ただまあ、足で路面を蹴る以前に、足を素早く右に振り出したことでバイクのバランスが変わって、結果としてグリップを取り戻したのかもしれません.ただ単に、路面が濡れていたのが一部分で、路面が乾いたところに復帰したためにグリップを取り戻したのかもしれません(そのあたりは、暗くてよく見えませんでした).スリップでバイクの挙動が変わった(ハンドルが逃げるような動きになると思います)ことで、右手のブレーキの握り具合が微妙に変わって、ブレーキをかける力が弱くなる方向に変わったのかもしれません.いずれにせよ、私が転倒を防いだのではなくて、結果的に転倒しなかっただけのことです.


何にしても、転ばなくてよかったです.朝も早かったし交通量の少ない道ですので、後続車にひかれる可能性は低いのですが、それでも大いなる危険であることには変わりありません.せっかくの数少ない楽しみであるオートバイですから、これからも十分に十分に気をつけて乗りたいと思います.