「活き作り」と「活けじめ」どっちが旨いか.

この場合、「活き作り」というのは、いけすなどで生かしてある魚を、生きたまま、その場で調理して刺身などにしてもらうことです.
「活けじめ」というのは、魚が取れた時に、えらとしっぽの付け根に切り込みを入れて、血液を出して殺してしまい、それを冷蔵などして保存しておくことです.
この魚はどっちが旨いのでしょうか.

「美味しんぼ」なんかでは、「活き作り」の方がまずいとしています.
理由は、いけすで生きている魚はただ単に生きているだけで、えさも与えられません.その上、いままでとは全く異なる環境に置かれるわけですので、ストレスも疲労もたまります.そのような悪影響がかさなるため、結果として味は落ちるということのようです.

私は「活き作り」というのを食べたことがないので何とも言えませんが、私が一番信頼している料理屋さんでは、魚は全て「活けじめ」にした上で、大きな氷を入れた海水に浸して、それを容器ごと冷蔵庫に入れて保管しています.それでも刺身で使えるのは1日が限度だそうです.
やはり魚は「活けじめ」の方が美味しいようです.

その料理屋さんで、自宅の宴会で使うための「バイ貝」を20個ほど調達してもらったことがあるのですが、大変なことになりました.
そのお店はこだわり屋さんですので、「せっかく厳選したバイ貝が死んでしまっては意味が無くなる」と言って、殻をむいた状態のバイ貝(体長10cmほど)を20個くれたのです.この状態では、バイ貝は生きているそうです.
しかしいくら何でもそのまま食べるわけにもいかんだろうと思っていたら、「ちょっとこっち来い」と厨房の方に呼ばれました.
そこで、バイ貝のさばき方を教わったのです.
「バイ貝は生きている時はヌルヌルが出るので、キッチンペーパーでよく拭き取った後で、こういうふうに切れ」と.
私ゃ単に宴会で食べる「バイ貝の刺身」を20個お願いしたつもりだったんですが、こだわり屋さんは、食べる直前まで「バイ貝」が生きていないと意味がないから、お前がさばけ、と判断したんでしょう.

おかげで私は自宅に帰ってから、キッチンペーパで「バイ貝」を拭きながら、さばきましたよ、20個.
でも、とっても美味しかったです.
貝類には「活けじめ」とかは無いんでしょう、きっと.