「全自動」にもいろいろ.

最近ネタがないので、今日は大学時代に聞いた「自動制御理論」の最初の授業の話を一つ.

最近の家電品は、ほとんどが「全自動」や「自動制御」になっています.
例えば、「全自動洗濯機」.でもちょっと待って下さい.「洗濯機」の使命は、「洗濯物をきれいに洗うこと」です.しかし、「全自動洗濯機」は洗濯物がきれいになったかどうか、確認しているでしょうか.してませんよね.
「多分こうすれば洗濯物がきれいになるであろう」という予測のもとに、決められたシーケンスで勝手に動いているだけです.よって、汚れの激しいものは1回洗っただけではきれいになりませんし、汚れの少ないものは、過剰に洗われることになります.その点、洗濯板を使った手動の洗濯では、汚れの度合いに応じた洗い方ができ、しかも汚れが落ちているかどうかという確認を取りながら作業を進めることができます.
そういう意味では「全自動洗濯機」はいまいちです.

さて今度は「電気ポット」.これを「全自動」という人はさすがにいないと思いますが、動作は「全自動」です.
「電気ポット」の使命は、「水を加熱してお湯にすること.さらに、温度が下がらないように適当に加熱し続けること」です.この場合、「電気ポット」はお湯の温度を計測して、お湯が沸いていることを確認しています.さらに、外乱、例えば、ポットの蓋を開けて水をたした時にはお湯の温度が下がるのですが、それを検知して、自動的に保温モードから沸騰モードに切り替わります.
「電気ポット」は、かなり「全自動」だといえます.

次に「炊飯器」.これも「全自動」です.炊飯器の場合、ちょっとおもむきが異なります.
まず炊飯スイッチが入った段階で、ある一定の電力で加熱をします.その時の温度の上がり具合を測定して、釜に入れられているお米の量というか、水の量を計算します.その後はその量に相応した火加減のシーケンスに則って、電力を調整します.
「炊飯器」の使命は「お米をご飯に炊きあげること」ですが、お米がご飯になったかどうかの確認はしていません.では「全自動洗濯機」と同じかというと、ちょっと様子が違います.というのは、人間がお米を炊く時にも、ご飯がちゃんと炊けているかどうかのチェックはしていないからです.
「始めチョロチョロ…赤子泣いてもフタ取るな」ですから、自分でご飯を炊いたことのある方でしたら、フタを取る瞬間に、「ちゃんと炊けているのか?」と、ちょっとドキドキしたはずです.つまり、洗濯と違って、炊飯は、人間がやってもフィードバック制御にはなっていない、ということです.ということで、「炊飯器」がちゃんとご飯がたけたかどうか確認をしていないのは、ある意味正しい制御方法なのかもしれません.

というのが今日のお話しでした.
いつもにも増して、意味のない話になってしまいました.