酒税法とレースの面白い話.

先日、バーに行ったときのことです.マスターはオートバイを複数台所有している.レースなんかにも興味がある.私もバイク持ってますし、レースなんかも好きです.で、ビールは酒税が高いけど、リキュールになると酒税が安くなるということで、第3のビールなんていうリキュール類に属する「ビールもどき」が出来るんですよねぇ、なんて話をしていたときに、そういえば、レースで問題になっている話知ってますかといわれて、いえ知りませんと.面白い話を聞かせてもらいました.

4輪のレースの世界にインディーカーレースというのがあります.日本ではF1ほど話題になりませんが、アメリカではメジャーなレースです.今年は4月に1回だけ日本でもレースをするそうです.もちろんレギュレーション、規則というのがあって、その範囲内で車を作って、それでレースをします.で、このたびレギュレーションが変わって、今まで燃料にしていたメチルアルコールを、今年からエチルアルコールに変更するということになったんだそうです.理由は、最近多いですけれど、「環境に優しいから」だそうです.まあ、ここまでは納得のいく話ですよね.もっともな話です.でも、その次が面白い.

エチルアルコールを燃料に使うとなって、「ちょっと待てい」と声をかけてきたのが、税務署なんだそうです.ご存じかどうかわかりませんが、エチルアルコールというのは、いわゆるお酒に入っているアルコールのことで、飲んで酔っぱらうアルコールなんですね.だから、レースに使うといっても、飲んで酔っぱらうアルコールは「酒」だろうということで、燃料としてのエチルアルコールに、法律上は「酒税」をかけるということになるんだそうです.ここらへんの発想が面白いなぁと思います.
ちなみに、レースで使うエチルアルコールは、飲めなくするために、2%程度のガソリンを混ぜるという処置がなされているのですが、日本の法律では90%を超える濃度のエチルアルコールは酒税法の対象になるんだそうです.

燃料としてのエチルアルコールの卸価格は1リットルあたり¥230ほどだそうです.でも、ほぼ純度100%のエチルアルコールにかかる酒税は1リットルあたり¥1000にもなるそうです.まあ、考えてみれば、ビールと同等のアルコール度数5%に希釈すると、20リットルにもなるわけですから、お酒として考えれば¥1000くらい税金が来ても不思議はないかなという気はしますが、あくまでも飲んで酔っぱらったときの話ですよね.どこをどうひっくり返してみても、レースの燃料以外に使い道のないエチルアルコールに酒税を持ってくるところが、面白いですねぇ.

最近バイオ何とか燃料っていって、アルコールを混ぜた燃料で自動車を走らせるという話をニュースなんかでよくやっています.何気なく聞いていましたけれど、あれはエチルじゃないんですかね.濃度が低くてOKなのかな.
先ほどのインディーカーレース、日本の酒税法に合わせて税金を払うと、全部で2000万円になるそうです.アメリカではガソリンを混ぜて飲めなくすることによって、課税対象から逃れているようなのですが、さて、日本の税務署はどう出るのでしょうか.日米摩擦の種にもなりかねない税金問題です.どう決着が付くか、ちょっと見ものです.