うまいサンマの食べ方.

サンマのおいしい季節ですねぇ.うちは比較的貧相な育ちなので、アジとかサンマとかイワシとかサバとか、安物のいわゆる青魚をよく食べていました.で、それがけっこう美味しくて気に入っていましたし、今でも大好きです.一番好きな食べ方は「塩焼き」ですね.イワシやサバは年中手に入りますが(もちろん旬というものもあるでしょうけど)、サンマは秋の味覚ですよね(もちろん冷凍物であれば年中手に入りますが).青魚のやっかいなところといえば、小骨が多くて比較的食べにくいこと.でも、子供のころからそればっかりでしたから、魚の食べ方は上手なんです.

家ではガスコンロのサイズの関係で、なかなか一匹丸ごとのサンマを食べることは出来ず、どうしても真ん中で二つにぶつ切りにしたものが出てきます.むかし、「秋の定例サンマバーベキュー」というのをやっていたことがあり、炭火で焼いたサンマのおいしさを再認識しました.家庭では味わえない一匹丸ごと、そして家庭用コンロでは出せない焼き加減を求めて、最近では時々お店までサンマの塩焼きを食べにいくことがあります.


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この写真は私がサンマの塩焼きを食べ終わったところ.頭としっぽと背骨を残して、きれいに食べてるでしょ.骨がどこも折れていない点も私のこだわりです.子供のころから鍛えたハシさばきで、チャッチャッと食べるのです.割り箸でここまでするのはけっこう難しいんですよ.まず、頭の付け根にブスッとハシを入れて、背と腹の中間まで皮を切り裂き、そこからしっぽに向かって皮を切っていきます.それが終わると、上手に焼けたサンマであれば、身が簡単にコロッと取れます.背側の身は背側に、腹側の身は腹側に転がします.その状態で、また頭の付け根にハシを刺して、頭はしょうがないので手でつまんで皮から外します.そのまま頭を持ち上げれば、つられて背骨も浮いて取れてきて、しっぽまでいったら、しっぽの付け値をハシで押さえて皮を引きちぎります.これで分解完了.頭としっぽと骨を皿の上の方において、さっき開いた背側と腹側の身を元の位置に戻して、頭側からハシでサンマをつまんで縦に口に突っ込んでガブリと食いつきます.口の中一杯に、サンマの皮と油と身とハラワタの味が広がって、もうシアワセです.こんな時に、魚好きでよかったと思います.世の中には「魚嫌い」「肉嫌い」と言う方がいらっしゃいますが、好き嫌いがあるというのは、人生のシアワセの半分を捨てているかのように感じます.

さて、ガブリと噛みついたサンマですが、とうぜん口の中には、腹側の小骨やヒレなんかも入ってきますが、そんなこたぁ気にせず、ガブガブと食べていきます.普通のサイズのサンマなら4口ほどで完食です.頭側からしっぽ側に向かうにつれて、味が微妙に変化していくのがまたたまりません.残った背骨ですが、頭としっぽを取って、骨だけにしてレンジで30秒ほどチンすれば、超簡単に骨センベイができて、これはこれでまたけっこう美味しいです.さすがにお店でそれは頼めませんけど.

私の嫁さんの実家は富山で、海の幸がたいへん美味しい.ということで、実家に行くと、当然のように魚ばっかり食べさせられます.魚嫌いの方にとっては地獄のような状況ですが、魚好きの私にとっては、この上ないシアワセです.天然物のタイや、ブリの子供のハマチのちっちゃいヤツ(何ていったかなぁ)、よくわからない赤い深海魚とか、今では幻の魚といわれて都会では1匹¥3000くらいの値が付くような「ノドグロ」とか(ノドグロになんであんな高値が付くのか私には理解できません.他にも美味しい魚はいくらでもあるのに).食べ方はサンマと基本的に同じですが、さすがに深海魚系は腹ビレや胸ビレが結構大きいので食べられません.それらは皿に残すのですが、そこでも私のこだわりがあって、残すヒレももとあった場所に置いとくんです.皿を片づけるときには、身だけ無くなって、頭としっぽと背骨とヒレたちが、もとあった場所をキープしている、それが私の魚を食べるときのこだわりです.だから、富山の実家でも「アンタは魚を食べるのがウマイねぇ」と言われます.確かに、私以上に魚で育った嫁さんより、私の方が魚の食べ方は上手です.というか、食べたあとの状態が美しいです.まあ、手先の器用さというのも大きく影響していることと思いますし、普通の人は食べたあとのヒレの位置まで気にすることなんて無いですよね.雑魚で育った私が、高級魚で育った嫁さんより魚の食べ方がウマイと言われるのは、ちょっと嬉しいです.

明日からの三連休、所用があって富山の実家に帰ります.秋が旬の魚を食べさせてもらえるかと思うと、とっても楽しみです.