魔法のマウス.

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今回は表題の通り、Appleの新しいマウスである「MagicMouse」についてです.先日のiMac等々の新製品発表の際に、私にとって最も衝撃的だったのが、MagicMouseです.っていうのはウソです.そりゃもう、新しいiMacの27インチを4コアにしても20万円そこそこなんていう値段を見せられた日にゃ、目の前にある24インチのiMacを眺めながら、自分の心をなだめすかして押さえ込むのにどれだけ難儀をしたことか.私の机はとても幅が狭いので、27インチなんてものが置けるわけがないと思い、その事実を確認することであきらめるためにメジャーで机の寸法を測ってみたら、ギリギリ置けるじゃないですか、なんてことまで判明して、墓穴を掘った自分をごまかすために、今回の目玉は、従来機種の改良であるiMacではなく、なんといってもまったく新しい概念のデバイスであるMagicMouseであると無理矢理断定して、速攻でAppleStoreにMagicMouseの注文をすることで、その場をしのいだのでした.そのMagicMouseが届いたのです.

なんにも知らない方にちょっとだけ説明をしますと、MagicMouseというのは、簡単に言うとトラックパッド付きのワイヤレスマウスです.もっとも基本的には、指でマウスの背を縦になぞると、ウインドウが縦スクロールしますし、横になぞると横スクロールをするというものです.だいたいわかりますか?

Apple製品で、この指でなぞるとゴニョゴニョという動作を初めてやったのは、iPodtouchでしたかねぇ.私にとってはiPhoneが最初のデバイスでした.これがまた非常にわかりやすいんですね.iPodのプレイリストや、電話帳の連絡先など、件数の多いものを表示させて、指で液晶表面を上方向にピンッとはじくようにすると、表示されている項目が、まるで質量を持った物体のように慣性力でもってスルスルスルッと上方向にスクロールします.慣性力ですので、放っておくとゆっくりになって止まります.すーっとスクロールしているときに目的の項目を見つけたときには、画面を指でピタッと押さえると、スクロールは止まります.まったくよく考えたものです.とても便利です.

次に、この指でピンッを体験したのが、新しいMacBookProでした.これはトラックパッドがついているのですが、普通のトラックパッドとはかなり操作が違います.マウスカーソルの移動は普通のトラックパッドと同じで、一本指でなぞるのですが、ここで指で一回トラックパッドをたたくとシングルクリックで、2回たたくとダブルクリックなんですね.2回目のタップで指を離さずにそのままパッド上をなぞると、ドラッグになります.そして、二本指で縦になぞると画面のスクロールですし、二本指でタップすると右クリックです.3本指で左右になぞると、スワイプといって、ブラウザでは「戻る」と「進む」になります.はじめに説明を見たときには「なんちゅうややこしい操作なんだろうか.こんだけ覚えるのは大変」と思いましたが、じっさい使ってみると、これがまた非常によくできていて直感的で使いやすく、一度使うともう普通のマウスには戻れないと、そんな感じでした.その操作性が新しいMagicMouseに搭載されたと、そういうことなのです.マウスとトラックパッドのいいとこ取りですね.

さて、本題のMagicMouseの操作なんですが、マウスカーソルの移動は普通と同じで、マウスを動かすことで行います.クリックはボタン操作です.といってもマウスの表面にボタンがついているわけではなく、一つ前のMightyMouseと同じで、マウスの表面全体が大きなスイッチになっていて、それがカチカチと動くわけですね.で、左クリックはマウスの左側を指で押さえます.右クリックはマウスの右側を指で押さえます.クリックしたときに指がどこを押したのかをセンサーが判断しているのですね.そして、ここからが新しい機能になるのですが、マウスの背中を縦に指でなぞると縦スクロールですし、横になぞると横スクロールをします.任意の角度の斜めスクロールもできます.「慣性スクロール」の「有り」と「無し」を設定できるのですが、「有り」にすると、iPhoneのようなピンッとはじくとスルスルスルッというスクロールができます.これはねぇ、ホントに一度使ったらやめられませんね.最近はWebページでも、極端に縦長のページって少ないのですが、それでもクリクリボールをクリクリするのに比べると、ヒジョーに楽ちんです.それから、2本指で左右になぞると、ブラウザの「進む」と「戻る」になります.これも便利ですよ.今までは自分の操作を最小限にするために、MightyMouseの真ん中クリックで「新しいタブで開く」をして、左手のcmd+Wでタブを閉じることで元のページに戻っていたのですが、MagicMouseの背中だけで「進む」と「戻る」ができるので、今まで愛用してきた「新しいタブで開く」をする必要がなくなりました.

あと、ちょっと便利だったのは、アクティブではないウインドウ上にマウスカーソルを持って行ってマウスの背中をなぞると、ウインドウが非アクティブなまま内容だけスクロールします.Webを見ながらメールの内容を確認したり(ネットで買い物をするときの振込先と金額を見たりするときとか)、テキストを打ちながらExcelのシートを確認したりとか、そういうときに便利です.

ここでちょっと気になったのは、各デバイスで同じようなことをするのに操作が微妙に違うということ.iPhoneでは1本指でスクロール、左右のスワイプも1本指ですが、MacBookProでは2本指でスクロールで、3本指でスワイプですし、MagicMouseでは1本指でスクロール、2本指でスワイプです.なんだかビミョーに違っていますよね.文章で書くと明らかに混乱してしまうのですが、実際に現物を使ってみると、まったく混乱しないのはなぜなんでしょうか.確かに動作はにているのですが、実際に指が触るデバイスの物理的な形状がまったく違うので、頭がちゃんと理解して使い分けているのか.それともAppleの仕組んだ魔法によって、直感的にわかってしまうのか.どちらにしても、とことん研究をした結果の操作体系なんだと思います.

ただちょっと残念というか、やったら出来るんじゃないかという点がありまして、MagicMouseも、MacBookProのトラックパッドと互換性をとった方が良かったんじゃないかということ.MagicMouseの背中を1本指でなぞるとマウスカーソルが移動して、2回タップするとダブルクリックで、2本指でスクロール、3本指でスワイプ.やれば出来ると思うんですよね.そうしたら、広い画面上でマウスを大きく移動するときに、狭い机の上でマウスをガッコンガッコンいわせなくてもいいですから.でもまあ、それをやってしまったら、ワイヤレスマウスではなくて、ワイヤレストラックパッドですもんねぇ.画像の編集なんかをするときには、トラックパッドよりもマウスの方が、だんぜん細かい作業がやりやすいですもんねぇ.まあ、マウスはマウスのままの方がいいんでしょうね.何でもかんでも詰め込んで、何でもかんでも出来ますっていうのは、Apple流ではないですものね.でも、ボケーッとWebページなんか見るときには、カチカチクリックしないでも済むトラックパッドの方が便利かなぁ、なんて思ったりもします.