ちゃんとMacもいじっていますからね.

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先日、MacBookProのHDDをSSDに置き換えたのですが、そうなってくると余った500GBものハードディスクをどう活用すればいいのか(貧乏性なので、余ったディスクがそのままっていうのは、なんだか気が落ち着かないのです)、まあだいたい行き着く先は同じだと思うのですが、まず滅多に使用しない光学ドライブを外して、そこに余ったHDDを入れ込むというマウントキットがありますので、それを使ってみようと思いました.ところがちょろっと調べただけでも、Mac側の機種ごとに注文すべきアダプタの型番が違うんですね.しかも、最近のMacと来たら、「MacBookPro15インチMid 2009 Unibody」とか、「Early 2009 Unibody」とか、外観からは判断できかねるような機種の違いがあるようで、いったいうちのMacBookProはどの区分けで、マウントキットは何を買えばええねん、ということがヒジョーにわかりづらいです.昔だったらPM8500とかPM9600とかいうだけで機種は特定されて、買うパーツに迷うことはなかったんですけどねぇ.

国内での情報が少ないのも影響があるのですが、海外の情報もいろいろ加味した上で、「MCE OptiBay ハードドライブキット OBSATA0GB-UNB」というものを注文してみました.ダメならオークションで引き取ってもらうということで.


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2日ほどで届いた荷物は素っ気ないほどの簡素な、というか、粗末な質の悪いいかにも中国直送という感じプンプンのダンボール箱です.中にはインストレーションガイドのCD-ROMが入っているのですが、私の主義として、「マニュアルを見ながらでないと取り付けられないような製品は、そもそも製品仕様自体が欠陥である」というのがありまして、このディスクはスルーです.


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マウントキット本体は、精度の悪そうなちゃちなモールドに、精度の悪そうなちゃちな板金がネジ止めされている、安物の雰囲気を全身から発散しているようなものでした.


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Mac本体との接続部分のコネクタは、確かにSATAっぽい形状をしています.


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付属でドライバーが付いてくるのですが、使うのにはちょっと不安を感じるような精度の悪いもので、簡単にネジの頭をナメてしまいそうです.私は自前の工具を使いました.


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おまけで付いてくる、外した光学ドライブを外付けで使用するためのケースというのも、これ以上ないというくらい安物の雰囲気を醸し出しています.


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ハードディスクを取り付けるためにはどうすればいいのかということで、とりあえず上面の板金を外してみました.内側にはプレスで傷が付くのを防止するビニールシートが貼られたままです.まさにペコペコの安物の板金細工です.指でちょっと押さえつけたら曲がりますので、不要の力はなるべくかけないように、そっと外しました.ネジ穴の位置の精度も良くないですね.ですが、HDDをインストールするのには無関係でした.ハズレです.


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裏面の板金ですが、これまた悲しくなるくらいチープな雰囲気を醸し出しています.


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裏面の板金を外すと、どうやらこの状態でHDDを基板に接続できるようです.


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ちなみに、Mac本体とHDDを接続する基板ですが、インターフェイス回路のたぐいは全くなく、ただ単に線が結ばれているだけ.全くのコネクタの物理形状を変換しているだけですね.


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この基板を外したあとで、元に戻そうとして気がついたのですが、基板を止めている2本のネジ、同じように見えてじつは微妙にサイズが異なります.これ間違えるとワケがわからなくなりますので注意が必要です.


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基板を元に戻して気がついたのですが、2つあるうちのネジの1つは、なんと基板のキワでネジの頭の半分を使って基板を押さえているという、今時珍しいくらいの手抜き設計です.マクドナルドのハッピーセットのおまけに搭載されている基板並みの固定方法です.


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基板をマウントアダプタに固定した状態でHDDをSATAコネクタに装着しようとしたのですが、これがまた規格品とは思えないくらい堅くて、HDDを基板に差し込むことが出来ません.しょうがないのでもう一度基板を外して、HDDに無理矢理基板を差し込みました.基板が壊れるかと思うくらいの力がいります.「いやもう、壊れようがどうしようが、どーなってもいいんですよ」というくらいの覚悟がないと出せないくらいの力がいりました.


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HDDに基板をつけてから、基板をマウンタにネジ止めし直します.この状態ではHDDはかなりガタガタです.こんなんでいいんだろうか.


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さて、マウントキットには4本のネジが同梱されているのですが、よく見ると、2種類のネジが2本ずつです.これはどう使い分けるのかよくわかりませんが、とりあえずHDDの固定用には太い方のネジのピッチがあいましたので、それを使いましたが、皿ネジになっているにもかかわらず、受け側の板金部分は皿ネジ用になっていません.結果として、皿ネジのネジ頭部分は板金の面から1mmほど浮き上がるような格好になります.あきらかに板金の設計か、ネジの選択を間違えています.


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HDDをマウントキットに取り付け完了したところです.これからいよいよMacBookProの光学ドライブの取り外しと、マウントキットのインストールを行います.


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まず、ディスプレイ関係のケーブルでしょうか、光学ドライブに両面テープで貼り付けられていますので、これをていねいにはがしていきます.


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光学ドライブは3本のネジで固定されています.1本目はここ.


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2本目はここ.どちらも奥まったところのネジなので、磁石付きのドライバーを使って、ネジを落とさないように慎重に取り出します.ネジを落とすと、ワケのわからないところに入ってしまって、取り出すのに必要のない部分まで分解する羽目になりかねません.


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3本目はここ.ドライブユニットとの寸法誤差を吸収するためと思われるステイ経由でネジ止めされています.


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これで光学ドライブが外れるかと思いきや、ディスプレイケーブルを止めている金具に、ほんの1mm程度干渉してドライブが外せません.


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ということで、この金具のネジだけ外します.金具自体を外す必要はありませんでした.


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はいこれで光学ドライブを外すことが出来ますが、うれしがってドライブを引っ張る前に、接続されているケーブル(とうぜんフィルムケーブル)に、余計なテンションをかけないように、慎重にコネクタからケーブルを抜きます.


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外した光学ドライブ.「UJ-868」と書いてありますね.


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外した光学ドライブと、取り付けるマウントアダプタを重ねてみると、当然ですが寸法はぴったり一致します.取り付け用のステーを固定するためであろう部分にねじ穴もちゃんと空いていました.


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両者を重ねて前から見ると、広角レンズなのでわかりづらいですが、右側のねじ穴が微妙にずれています.2mmくらい.こんなんでちゃんと3本のネジで固定できるのか、ちょっと不安になります.


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ドライブのおしりに付いていた、ドライブ固定用のステーを外したところです.マウントキットに同梱されていたネジのうち、残っていた2本のネジはここに使うためのものだったんですね.青色のゆるみ止め剤が付いているのが、元々の光学ドライブに使用されていたネジで、他方がこれから使うネジです.これから使うネジはよく見るとモールドに対するタッピングネジになっています.ここら辺は細かいところまでよく考えられていますね.


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マウントキットに取り付け用のステーをつけているところですが、ここで一つポイントがあります.まず、ドライバーは一番細い精密ドライバーを使用しないと、軸が太すぎてステーと干渉してしまいネジが締められません.それから、ネジの頭とステーも干渉します.1つのネジを完全に締めてしまうと、2つめのネジがステーに干渉して締めることが出来ません.1つめのネジを軽く噛み混ませた状態で2つめのネジも軽く締めて、その状態で2本のネジを交互に締めていくと上手に出来ます.


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ロジックボードとの接続ケーブルですが、短いものですのでロジックボードから外してマウントアダプタ側に装着してから組み付けた方が作業がしやすいです(光学ドライブを外すときもその方が作業がしやすいことに、この時点で気がつきました).


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あとは3本のネジで固定すれば作業終了と思いきや、さっき光学ドライブとマウントキットのねじ穴比較を行ったときに「なんかズレてるよなぁ」と思っていたねじ穴、やっぱりズレています.ネジが打てません.まあ、2本のネジで固定できていれば、水平方向の強度は大丈夫と思いますが、垂直方向の振動に対して、マウントキットがボトムケースにガシガシぶつかる可能性が考えられます.


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ということで、マウントキットのネジ止めできない部分にこれを貼り付けました.これは、厚さが1mmの革のシールです.そんなもんは普通の方は持っていないと思いますので、ホームセンターで売っている厚さが1mmくらいのクッション性のあるテープでも貼っておけばいいのではないでしょうか.


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さいごに、今回の作業で余ってしまったネジ.光学ドライブを固定するためのネジ1本と、ステーを取り付けるためのネジ2本.今後、光学ドライブを元に戻す機会があるかもしれませんから、このネジは紛失しないように大切に保管しておく必要があります.どっかで手に入れようと思ってもほぼ不可能ですからね.

さて、新たに内蔵された500GBのHDD使い分けですが、こんな風になりました.TimeMachine用に100GB、起動ディスクのバックアップ用にSSDと同容量の80GB、あとは雑多なデータ保存用として285GBです.これで、出張先で行ったファイルの変更の内容をすぐにTimeMachineでバックアップできますし、SSDに新しいシステムを入れるときにもHDD側に起動ディスクを丸ごとバックアップしてから作業を進めることも出来ますし、データ保存容量域には、iTunesの動画データなんかも全部はいりましたので、出張先の夜の暇な時間に「探偵物語」のムービーを見ることも出来ます.これでまさに、メインマシンを世界中どこにでも持ち出す環境が整ったということです.

副次的な効果として、MacBookProを起動するときに、起動音と同時に光学ドライブが無条件に発する「ギ?ヨ、ギ?コ」という音がしなくなったのも嬉しいです.ちょっと気になるのは、「省エネルギー」の設定で「可能な場合はハードディスクをスリープさせる」にチェックを入れていても、どうもHDDは回転し続けているようです.まあ、細かいことですけれどね.あと、MacBookProでは、落下センサーでHDDのヘッドをリトラクトする機能があったと思うのですが、これはマウントキットに搭載されているHDDでも有効なんでしょうかね.

なんにしても、作業環境が自分の理想に一歩近づいたことは大歓迎すべきことではあるのですが、上の方で何度も書いているように、マウントキット自体の作りはヒジョーにちゃちです.中国製であることを考えれば、たぶん製造原価は¥300?¥500程度です.これを1万円超える値段で売っているというのにはちょっと違和感を覚えますね.まあ原価が安いということがわかってしまえば、あとは時期がたてば販売価格は限りなく安くなっていくという流れになるのでしょうね.私のようにとりあえず使ってみたいという方にとっては1万円という価格は十分に納得のいくものだと思います.私は不満はありません.でも、興味はあるけど必要性はあまり感じないかな、という方でしたら、もう少し時期を置けば販売価格はもっと下がってくると思いますよ.

ああそれから、マウントキットを固定する3本のネジのうち1本が使えなかったということについて、同梱されているマニュアル(英語)を見てみたところ、「1本固定できないけれど、問題ないから気にするな」というような記述があったと思います.まあそんなもんなんでしょうね.

ということで、今回の「光学ドライブ取り外してHDDを内蔵するためのマウントキットの導入」は、私的には非常に満足のいく結果であり、良い買い物であったと思います.細かな作業を伴いますので、腕に自信のある方はぜひご自分で、ちょっと自信のない方は、Macサポート専門店のspiricaさんにお願いすれば問題ないと思いますよ.