TPUフィラメントを便利に使うための小物.

最近はずっとTPUフィラメントを使っています.TPUは「弾性樹脂」といわれることもあり、その言葉から考えるとバネやゴムのようにビョンビョンするように感じるかもしれませんが、実際には「他の堅いフィラメントと違って曲げることが出来る」くらいのものです.板状のものを印刷して曲げても、ユルーく返ってくるだけです.感覚的には便所のスリッパとかビニールホースみたいな感じです.

そんなTPUですけど、使っているうちに他のフィラメントとは違った良い点がいくつもあることがわかりました.とはいっても私がこれまでに使ったことがあるのはPLAとPETGだけなので、それとの比較ということになりますけど、まず、弾性樹脂なので、ソリとかの影響がありません.平べったいものを印刷しても、温度差で曲がってビルドプレートからはがれるとかありません.ストレスがかかるところは自分自身が変形して受け流してくれます.

それから、サポートが使いやすいです.堅いフィラメントだと本体もサポートも堅いので、小さな隙間にカッターナイフとか細いドライバーとかの細かなものを差し込んで、本体が割れないように、傷つけないように、慎重にサポートをはがします.でも、TPUは本体もサポートも変形するので、本体とサポートの境界あたりをラジオペンチと精密ニッパーで掴んで、力まかせにメリメリ引き剥がす感じになります.そして、サポートを引き剥がしたあとの面の荒れがとても少ないです.いままで使った堅いフィラメントでは、サポートが付いていた部分と付いてなかった部分の表面の仕上がりの差が大きく、基本的にサポートは使わないような形のモノを作っていました.でもTPUは差がほとんどないので、サポートに対する苦手意識がなくなりました.

印刷したものの細かな部分が壊れたりしません.堅いフィラメントだと、印刷したものの一部が細かい造形になっていると、ちょっと引っかけたり落としたりすると意外に簡単に壊れることがありますが、TPUなら、印刷さえ出来ればその後で壊れることはまずありません.かなり引っ張ってもちぎれたりしません.

あと、表面の仕上がりが、他の樹脂と比べても滑らかでイイ感じになります.下や横の層との結着も強いように感じます.糸引きが少ないですし、糸を引いたときもライターとかであぶってやるとすぐに吸収してくれます.薄く印刷すればフニャフニャのペラッペラになりますが、厚めに印刷してインフィル率を上げてやると、それなりの堅さや強度になります.二つの部品をはめ合わせたりするときに、堅いフィラメントだと誤差を考慮して外寸とか内径とか変更しないとなりませんが、TPUだと適当に変形してくれるので、そういった補正をかけなくても大丈夫です.表面の摩擦が堅いフィラメントより大きくなるので、磁石を仕込んだものを作ると、どこかに貼り付けたときにズレにくくなります.印刷中の匂いがありませんし、ノズル周りに樹脂のゴミが付着して、印刷途中に垂れてきたりということもありません.

なんか良いことずくめのようですが、難点がないわけでもありません.一番気になっているのは、印刷速度を上げられないこと.今は30mm/Secでやっています.まあ遅いのは外壁だけで、インフィルとかは100mm/Secですけど、とにかく時間がかかってしまう.

それから、堅いフィラメントは、ある程度スプールに巻かれた状態を自分でキープしようとしますが、TPUはフィラメントもフニャフニャなので、自分の重さでブラブラするような状態になります.そして、印刷中にフィラメントの出し入れを繰り返すと、簡単にバックラッシュを起こします.
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気がつくと、こんなふうに巻き付いていたりします.

どうすればいいのか考えたんですけど、下から引っ張るので下でこんなことになっているわけで、上から引っ張っていれば上の方に外れてしまうんでしょう.けっきょく本来あるべき場所から引っ張るしかないんだろうと思います.

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そこで、こんなものを作りました.もちろんTPUです.


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裏には、ダイソーのネオジム磁石を仕込んであります.


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こんな感じで、いちどスプールの中の正しい位置を経由することで、下に垂れたフィラメントを元の位置まで引っ張り上げてくれることを期待しています.今のところバックラッシュは起こらなくなりましたけど、長く使うとフィラメントとこすれる部分が摩耗するかもしれないなと思っています.